ブノワコーチが初めて理論的に教えてくれた

ちなみに、現在の体重は?

79kgです。世界選手権以降はチームで体重を増やすという方針がありました。世界選手権の頃は77kgでしたね。

一度体重を増やし、また絞るということですか?

はい。ただ僕はペダリングの効率を重視しているので、自分の重視している点を活かしつつパワーを上げたいと思っています。同じチームで、同じトレーニングをしている選手達とどこで差をつけるか?そう考えると自分の得意としている所しかありませんから。

効率とは、回転率ではなく、どこで力入れて抜くか?ということですか?

そうです。簡単に言うと、200mで同じ10秒かかるとして、その10秒間を1200wか1000wで走るのか。無駄な力を入れず、少ないパワーで走れるということは、余ったパワーを長い距離のスプリントや最初の加速にも使えますからね。

では、効率の良さも求めつつパワーも上げていく、そういったことですよね?

そうですね。因みにブノワコーチはパワーの出し方において、「ここはエコロジカルに」みたいなアドバイスがあるのですが、ペダリング効率ではなく出力効率を重視しています。

それは、とても難しい作業ですよね。

難しいと思いますが、そういう所が世界で戦うのに必要なのだと思っています。今までは自分で突き詰めて、見よう見まねでやりながら感覚的な所で自分を納得させていた。それを教科書の様に、理論的に教えてくれるのがブノワコーチなんです。

これまで外国人を含め、ナショナルチームには様々なコーチがいました。その方々と比較して、ブノワコーチが優れている部分はどこでしょうか?

トレーニングのデータを細かく分析して、分析結果に伴ったトレーニングを組み立てる所ですね。あとこれまでの体制とはチームの組織力が全然違います。ここまで多くのスタッフを雇って大きなチームとしての活動はありませんでしたので。

・・・後編へ続く

【後編】渡邉一成インタビュー/超えねばならない“高い壁”

Interview : Mizuki Ida
Photo & Text Edit : Shutaro Mochizuki