2023年5月、日本選手権競輪(ダービー)で自身初G1タイトルを獲得した山口拳矢。「ダービー王」となった27歳は、自身初のKEIRINグランプリに挑むこととなる。
親子3代に続き「競輪」を紡いでいる岐阜のスターの素顔とは。
『Road to KEIRINグランプリ2023』の特別企画として、More CADENCEとして初のロングインタビューを実施。
ダービーの時の気持ち、父との関係、ここまでの歩み、そして生の野菜が食べられないことなど。グランプリ出場選手だけではないが、やはりグランプリ出場選手には“濃い”背景があると認識させられる。
山口拳矢選手のパーソナルな部分に迫る。
ダービーの話
Q:まずはダービーについて触らせていただきます。決勝では、残り1周半で脇本雄太選手が後ろにかなり下がっていました。あのあたりは見えていましたか?
見えていないです。赤版(残り2周)の時点で犬伏(湧也)くんがスピードを上げていたので、これはもう届かないなと思っていました。4番手の絶好のところにいて、2コーナーのところから行こうかなと思ったら(清水)裕友さんが行ったので「よっし!」と。
Q:うまくハマりましたよね。でも佐藤慎太郎選手に最後はブロックもされていましたが、よく転びませんでしたね。
はい、びっくりしました。ちょっとスリップしたので「ヤバい!」と思ったのですが、もう踏み出していたし、横なのでそこまで失速も無かったです。転ぶようなやつではなかったし、慎太郎さんも自分のコースを作るための動きだったのだと思います。
Q:何歳くらいまでにタイトルを、という目安はあったのでしょうか?
父(山口幸二:元競輪選手、現競輪解説者)が30歳でタイトルを獲っていたので、なんとなくその辺りを目安にはしていました。
父との距離感
Q:父親がレジェンド競輪選手ですが、比べられるストレスみたいな部分はありますか?
比べられることがわかった上でこの世界に入ってきているので、いまさらもうないです。父の話をされても嫌ということはないです。
Q:インタビュアーでお父さんが出てくるのはどうですか?
「もういいやろ」と思います(笑)3回くらいやったし。そんな見たい!?って。
Q:お父さんが父親として話してるのに、山口選手は選手として話すっていう(笑)
そんなとこで息子として喋れませんから(笑)!1人のインタビュアーだと思って喋ってます。
Q:「困ってるんだろうなあ」と思いながら拝見してます(笑)でも親子どころではなく、おじいちゃんの代から競輪選手ですもんね?
そうですね、3世です。
※祖父は7期の山口啓
Q:将来自分の子どもが生まれたとして、競輪選手の道を勧めますか?
「なってくれ」と言うことはないと思いますが、反対は全然しないですね。でも女の子だったらわからないかも……
Q:選手になってから、お父様と仲良くなりました?
喋るようになりました。以前は本当に喋ることがなかったんですよね。
Q:「おう、おはよう」って言われたら?
「んあ」。
Q:(笑)
家族でご飯を食べることはあっても、2人で食べにいくなんてことはなかったですね。僕は兄(山口聖矢/115期)と仲が良いので、そこでよく喋ってはいました。両親は両親で仲が良いので、家族で食事に行くと親は親同士で喋って、僕たちは兄弟同士で喋るような感じでした。