『2023ネーションズカップ第2戦』ではケイリンで優勝。続く『2023アジア選手権トラック』では、同じくケイリンにてアジズルハスニ・アワンに次ぐ銀メダル。アジアの英雄に一歩迫る走りをしつつ、「非常に悔しい」と語っていた中野慎詞。

そんな中野が次に挑むのは、自身「初」となる世界選手権。自己の成長に繋がったこれまでの経験などに加え、パリオリンピック前の唯一となる本大会への意気込みを伺った。

「戦える域に来た」ネーションズ金メダルで得た実感

Q:久しぶりのインタビューなので、少し前の出来事からお聞きします。『2023ネーションズカップ第2戦』ケイリンでの金メダルは嬉しかったですか?

めちゃくちゃ嬉しかったです!今までの大会と比べても1番嬉しかったです。

Q:大きな国際大会での金メダルでした。自信に繋がりましたか?

今までは戦える力を付けた感覚はありましたが、実際走ってみると「イマイチだな」という印象がありました。ネーションズカップでのメダルは自信にもなりましたし、「戦える域に(自分が)来たな」という感覚を得られました。

金メダルが獲れた要因は、2022年末に出場した『トラックチャンピオンズリーグ』だったと思います。その後ジャカルタ(2023ネーションズカップ第1戦)にも出場して、経験と一緒に徐々に自信も付いてきました。

なのでエジプト(ネーションズカップ第2戦)には、ある程度自信を持って臨めたんです。

インターナショナルな中野慎詞

アジズルハスニ・アワン、ムハマド・シャローム(マレーシア)

Q:チャンピオンズリーグでは、ハリー・ラブレイセン選手(オランダ:現短距離種目の絶対王者)などともお話しする機会はありましたか?

あまりなく、挨拶ぐらいしかできませんでした。

でもインドのエソー(アルベン)選手などと仲良くなりました。あと、カザフスタンのセルゲイ(ポノマリョフ)、イスラエルの背の高いミカイル(ヤコフレフ)といつも一緒に行動していました。

ジムを見つけて、一緒にトレーニングをしていたのは、コロンビアの男女選手。キンテロラミレスバヨナ*とかですね。

※ケビン・キンテロ、サンティアゴ・ラミレス モラレス、マーサ・バヨナ

エソー・アルベン(インド)、アジズルハスニ・アワン(マレーシア)

Q:チャンピオンズリーグでは、レース当日以外にも他国の選手と交流が深められるんですね。

はい。チャンピオンズリーグをきっかけに、国際大会の会場で他国の選手と挨拶したり、コミュニケーションを取る機会が増えたことは良かったと思います。

強敵との連戦で培った経験

Q:なるほど。話が戻りますが、チャンピオンズリーグは自信を得るきっかけにもなったと。具体的にはどういったところからでしょうか?

出場しているメンバーが強い選手だらけという部分があります。いきなりネーションズカップの準決勝ぐらいから戦い始めるイメージです。そして同じ強豪のメンバーと、連続して5戦ほど戦うことができます。

僕は国際大会を走ったことがほぼなかったので、とても貴重な経験となりました。

Q:その貴重な大会に、また2023年大会も招待されたら出場したいですか?

出場したいです!

Q:でも競輪のG1に出れるのであれば、どうでしょうか?

競輪でG1に出れたら、G1を選びます(笑)

とはいえチャンピオンズリーグは本当に実りのある経験になりました。実はレースの合間に、せっかくなので様々な観光地に行ったんです。カザフスタンの選手とかと一緒でしたね。

僕は競輪で国内の各所に行っても、比較的レースに集中して他のことはやらない方なんです。なのでチャンピオンズリーグでの経験は新鮮でした。

勝ち抜く上手さ 中野が見たアジアの英雄

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