この3人だから世界を目指せる
Q:チームスプリントでは、スタート時に第1走が大きく離れて走りますよね。距離が離れてしまったとしても、第2走、太田選手の空気抵抗はいくらか軽減されるんでしょうか?
走っている最中に体感としてわかるわけではないのですが、1人で走ってる時に比べるとだいぶ楽です。ヨシさんのおかげで自分のタイムが更新されてるようなもんです。めちゃくちゃお世話になっています!
Q:それは第3走の小原佑太選手も同じことなんでしょうね。そう思うと、やはりチーム種目ですね。
チームとしか言いようがないですね。「1人1人が100パーセントを出すから、チームとして速い」。1人1人が100パーセントを出さないとまず話になりません。でも全部が合わさった時、100+100+100=「300」じゃなくて、「1000」になるようなイメージです。
Q:長迫選手は、太田選手から見てどんな人ですか?
ヨシさんは……すごく情熱的な男、ですね。良い意味で子どもというか、「大人だったらそんなエネルギー出ないよな」と感じることがあります。自転車に乗るとすごくエネルギッシュになりますね。
Q:では小原選手は?
小原さんは……柱?
あの人って目立ちたい目立ちたいって前に出てくるタイプではないんですけど、小原さんが僕とヨシさんの間を持ってくれていますし、チームとして大切な位置にいる人だと思います。競技面でも一番しんどいことをしてくれていますし、心も体もタフな男だと思います。
Q:じゃあご自身は?
僕は……甘やかされてますね(笑)
いつも100パーセントを出させてもらってます。僕をちぎるくらいのスピードがある1走のヨシさんがいて、僕のあとをきちんと追走してくれるタフな小原さんがいる。ボート競技をしていた時とは違い、今は安心して100パーセントを出せます。
この3人だから世界を目指せるし、仮に僕が3人だったら世界は目指せません。3人ともそれぞれ能力が違うからこそ、その点を強く感じます。
スプリントは「相手とのスピード差」
ケイリンは「どれだけレースを動かすか」に注目
Q:個人種目ではケイリン・スプリントとありますが、どちらにより力を入れているなどありますか?
……どちらも同じくらいのモチベーションでやっています。
ケイリンに関してはレース的な楽しさがすごく大きくて、「勝っても負けても理由がある」その部分が面白いです。スプリントは力が物を言うから、スプリントにはないことだと思います。
スプリントは自分の力、筋肉量やスピードなどが勝敗に直結します。対自分の戦いとして、とても面白みを感じています。
Q:トラック競技を見たことのない人に「俺のここを見てくれ!」と言うなら、どんな部分ですか?
スプリントの決勝や準決勝のようなレベルが高いレースに関しては、残り1周の前に「どれだけ相手とのスピード差を出せるか」を注目していただきたいです。鐘が鳴る前ですね。
ケイリンでは「どれだけレースを動かすか」です。世界でも「レースを動かす選手」はそれほど多くないんですが、僕はその中の1人だと自負しています。自分から仕掛けて、主導権を握ってレースをする様子を見ていただきたいです。
Q:今回は男子ケイリンが最終日。最後まで気の抜けない7日間になるかと思います。
そうですね。最後まで走りきれるよう、あと2週間で仕上げていきます(※インタビューは7月中旬に実施)。
スプリントは、準決勝までは絶対に残りたいです。ベスト4に入りたいです。ケイリンでは決勝進出が目標。いずれも、メダルが獲りたいのはもちろんです。