中長距離のナショナルチームメンバーでありながら競輪選手でもある内野艶和(チーム楽天Kドリームス)。2023全日本選手権トラックでは2019年から破られてこなかった個人パシュートの日本記録を予選・決勝と2回連続で更新し、周囲を沸かせる活躍を見せた。

アジア選手権を目前としたタイミングで、その内野にインタビュー。着実に強くなっていく内野に、その成長の理由を聞いた。

2023年シーズンの成績

開催月 大会名(開催地) 成績
2月 ネーションズカップ第1戦
(インドネシア・ジャカルタ)
エリミネーション:9位
チームパシュート:6位(日本記録を2回更新 最終:4分18秒510
4月 ネーションズカップ第3戦
(カナダ・ミルトン)
エリミネーション:13位
マディソン:8位
チームパシュート:10位
5月 全日本選手権トラック
(伊豆ベロドローム)
個人パシュート:優勝&日本新記録(3分30秒486
チームパシュート:優勝
オムニアム:2位
マディソン:2位
エリミネーション:3位
スクラッチ:3位
ポイントレース:優勝

強さの秘密はいちご!……というわけでもなく

Q:突然ですが、好きな食べ物は?

肉じゃがといちごです。今シーズンはいちご狩りも行ったし、いっぱい食べましたよ。いちごを安く売っている場所をロードで通るのですが、ウェアの背中ポケットに詰め込んで帰ります。野菜も安くて、この間(古山)稀絵さんは長ネギを刺して帰っていきました(笑)

Q:……潰れません(笑)?

お店の人が優しくて、段ボールを分けてくれるので、それでガードするんです。取り出すときに落ちちゃったり……でも3秒まではOKです!

これがいちごを背負って帰るスタイル

Q:まさか、最近の強さの秘訣はそれ?

これかもですね(笑)とはいえ理由らしい理由があるわけではないんです。全日本選手権の3km個人パシュートの記録には、自分でもびっくりしました!自分でもその理由を研究してるところです。今日も練習で3km走ったのですが、準備なしの状態で3分32秒。案外速くって……

Q:日本記録を更新した時は嬉しかったですか?

ずっと苦手だと思っていた種目なので、嬉しかったけど、正直びっくりの方が大きかったです。

去年(2022)も一昨年(2021)も、全日本では3kmを避けて走ってきませんでした。今回「走ってみよう」と思って走ったら、このタイム。ひとつ思い当たることがあるとすれば、全日本の少し前に埼玉のロードタイムトライアル(以下:TTと表記)に出場したことくらいです。

【リザルト】2023加須こいのぼり杯第18回タイムトライアル・ロードレース大会

20kmあったのですが、結構調子良く踏めて、その良い感覚が残っていたのかなと思います。20kmと比べたら3kmって短いし、楽な感じで走れたのかもしれないです。

Q:20kmの個人TTと比べたら、そりゃ短いですね。

はい、20kmはめっちゃ長くてキツかったです!人生初でした。(垣田)真穂ちゃんと(池田)瑞紀ちゃんと私だけが、「調子を見たいからちょっと走ってきて!」と言われて急に出ることになりました。

その時は一生懸命走って「うわ〜キツかったな〜」だったのですが、その少し後の全日本では「あれっ走れちゃった!」って感じ。だからといってチームパシュートがすごくよく走れるかっていうとそうでもないし、自分でもよくわかっていないです。

効率的なペダリングが好タイムの理由か?

Q:数値的な面はどうですか?

20kmTTの時は、20分間で踏めた自分のワット数が更新されていました。あと、合宿で「ワットがみんなより低い」と指摘されたことはあります。タイムは大きく変わらないため、「ワットが低いから良い」ということも言われました。

Q:低いから良い……んですか?

ペダリングが上手いから、低いワットで走れる……ということらしいです。だから3kmも最後まで保つ、みたいな……

Q:つまり効率が良いということですね。

ワットから分析したら、そういうことになるようです。だから最近の成績の理由はペダリングの効率なのかな?と思います。

Q:因みに走ってる最中はタイムを把握してましたか?

ラップタイム(1周ごとのタイム)は聞いていました。でもフォームとライン取りと呼吸に集中していて、周回数はあまり把握できていませんでした。

Q:では「最終ラップに向けてラストスパート」みたいなものもなかった?

そうですね、一定で踏んでいました。上げ下げがあるとキツいので、自分の足の回転を感じながら走っていました。

Q:……プロっぽい発言です。

みんなそんなこと言う(笑)!

年下の子たちが入ってきて、コメントがお姉さんっぽくなったなと感じます(編集談)

決まりきった展開は見せたくない

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