他とは違うレース、KEIRINグランプリ
ブノワ:広島のG3が終わったばかりです。このG3でコンディションを整える、リズムを作る、というようなことがあるのかなと思うのですが、どうでしょう?
松浦:地元なので、やはり「みんなが応援してくれていると実感する場」でもあります。これに出場することにより、より気持ちが入る側面があります。逆にこのレースを走っていないと、自分の気持ちが保たないんです。
ブノワ:松浦選手の年間の目標として「このレースに勝ちたい」とひとつ決めているのか、それとも目の前のレースに全力で取り組んだ結果勝利を重ねているのか、どちらなのでしょうか?
松浦:去年(2021)は「ダービーに勝ちたい」、今年(2022)は「賞金王になりたい」と思ってやってきました。どっちの要素もあるのですが、今年に関してはどこかにピークを持ってきていた訳ではなかったです。シーズン通して同じレベルで走れるように、と意識してきた1年でした。
ブノワ:競輪選手は1年を通して賞金も重視しながらレースをしていると思うのですが、『KEIRINグランプリ』だけはスポーツ的な側面が強いと感じています。そこまでお金を見ないというか……実際に松浦選手としてはどうですか?
なぜこの質問をしているかというと、G1レースは決勝でもそこまでピリピリ感を感じないんです。でもKEIRINグランプリに関しては、オリンピックと同じようなピリピリ感がある、そう感じています。
松浦:半分半分ですかね……(笑)確かにグランプリは、他のレースに比べて「獲りたい」という欲を出してくるレースだと感じます。だからこそ動きが単調になりやすい、という特徴もあります。
でもグランプリをどのように捉えているかは、選手によります。普段と同じような動きをする選手もいれば、グランプリだけ「なんで?」って走りをする選手もいる。その年のトップ9人が走るレースなので、他のレースよりも勝ち難いレースであることは事実です。
ブノワ:松浦選手はギャンブルがお好きですよね?
松浦:イエス!
ブノワ:(笑)もし松浦選手が2人いたとします。走る自分、賭けられる自分。そうなったら、自分に賭けますか?
松浦:ぃ〜……難しいなぁ〜……(笑)
ブノワ:私なら3連複には絶対入れますね。
松浦:2着3着は、確かにイメージできますね。やりたい走りができれば3着までに入れる手応えがあります。ただ相手がやらせてくれるかどうかはありますが。
もしグランプリが夏なら
ブノワ:グランプリは毎回年末で、いつもみなさん寒い中でレースをされています。「もしグランプリが夏だったら……」などは考えたりしますか?
松浦:はい(即答)
ブノワ:寒い中でのレースということで、防寒対策はありますか?
松浦:それほどしてないですね。選手が使う防寒用のオイルやクリームなどはありますが、使っていません。中に着るインナーを冬用にしているくらいです。
ブノワ:インドア開催の方が良いな、と思ったりしますか?
松浦:そうですね。ドームなら冬でもいいかも。
ブノワ:走りやすいとか、好きな競輪場はありますか?
松浦:高松と富山ですね。高松はバンクがとても自分に合っている感じがします。自分が踏んだ分しっかり進むし、脚がしっかり返ってくる、ペダリングがうまくいく感じがしますね。バンクの材質とかなのかなと思うんですが……高松は本当にそんな感じです。
ブノワ:トラック競技の国際規格である、250m木製バンクは走ったことありますか?
松浦:2回か3回くらい……伊豆で走ったことがあります。自分は長い距離をもがけないので、このバンクなら長くもがけそうだなと思いました。でもトップスピードは出にくかったですね。
ブノワ:一般的には250mの方が速いと言われますが、やはり慣れていないとそうもいかないですよね。
いろんな道を試してみる
ブノワ:最後の質問になります。今回のグランプリメンバー9人はみんな性格も走り方も違うと思います。フランスから来た人間として日本を見た時、集団行動を良しとする文化の中で、これだけ違うのはとても面白いなと思っていて……そこでお聞きしたいんですが、プロの競輪選手として大成するために、考え方や性格が他の人と異なることは重要だと思いますか?
松浦:はい。みんなと違うことをしないと勝てないです。例えば僕はナショナルチームがやってることの逆を行く……というと大袈裟ですが、様々な道を試してみることは大事だなと思っています。
ブノワ:良いですね。私も選手たちには「誰かの真似をしても強くなれない」と話しています。
……もっと喋りたいけど、もう時間ですね?
松浦:名残惜しいですね。シリーズにしましょう(笑)
KEIRINグランプリ2022インタビュー
一覧はこちら