勝利の夜のカップヌードル

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赤パン、履いてみた

Q:初出場のグランプリですが、取材はたくさん来ていますか?

そうですね、忙しくしています。つい昨日、S級S班の赤パンが届いたんです。

すげえ……良いです(笑)

昨日練習で履いてたんですけど、履いてるの忘れちゃってて、フォームを見ようと思い鏡を見て「あっ、赤パンだ」ってなりました。

※S級S班の赤パンツは2000人以上いる競輪選手の中で9人しか履くことの出来ないトップの証

Q:「俺かっこいいな」ってなりましたか?

「意外に似合ってるな……」と思いました(笑)

でもグランプリの前検に入らない限り来季のS級S班は確定しないので、まだ気は抜けません。守澤さんに「取り扱いに気をつけろよ」って言われました(笑)赤なのでシミが目立つみたいで、手を洗った水が付いたりするだけで、ちょっと恥ずかしく見えちゃうそうです。

Q:(笑)赤パンを履いたことで「遂にここまできたんだな」みたいな感覚はありましたか?

いや、それはないですね。まだまだです。それよりも「S級S班なんだから3着以内に入れ」という雰囲気をこれから感じていくと思います。自分のスタイルとしては先行で、先行一本でいきたいのは山々なんですが、かといって……という。色々考えてたら考えがまとまらなくて、不安です。

新山響平, 競輪祭, 小倉競輪場

Q:先行のスタイルはいつまで貫くつもりでしょう?

自分が先行で勝てなくなるまで、ですね。脇本(雄太)さんみたいに走れれば良いですけれど、「ワッキーを倒そう」とみんなが対策しやすいですから、リスクの高い走り方でもあると思います。そうなったときに横の動きもできるようになっていたら、中段とかで見れるし、粘れるし、動かせる。そうなればラインも短くなるし……結局先行を活かすために横や位置取りが必要になるのかなと思っています。

今までは「大敗して悔しい」はあったけれど、自分のレースはできていました。でも来年からはそんなことも言っていられないし……「責任」を感じますね。

Q:それはS級S班になるから、ということでしょうか?

そうです。仕事をしなければいけない、と感じます。考えすぎかもしれないけれど、考えてないやつの方がダメだと思います。後閑(信一)さんが「考えることを止めるな」と以前言っていました。

Q:それは新山選手にとっての座右の銘のようなものですか?

頭に残っている言葉ではあります。「確かに」と感じました。でも座右の銘は「明日やろうは馬鹿野郎」ですかね。クセになって後回しにしちゃうのは良くないな、と思います。モットーとしています。

ナショナル卒業後の練習環境

Q:以前から「実力はあるのに、結果がついてこない」という感じでした。もともと縦足の速さ、キレの良さは凄かったですよね。それはナショナルチームの練習もあったからとは思うのですが、練習としてはナショナルのものをベースに続けているんでしょうか?

今は家族との時間も大事にしていて、家のことをやってから練習するようになっています。ナショナルチームにいた頃のような練習量は物理的に難しい部分がありますし、時間的にも他の選手たちと合わせることが難しいです。1人で練習するとなるとナショナルと同等の内容を行えないので、短い時間でどれだけ効率よく追い込めるか、を考えてやっています。

ナショナルの練習はもちろん良いのですが、大ギア練習がメインなんです。一発バシン!と出して勝負をつける、という面ではナショナルの練習はとても有効です。ナショナルの練習の良い部分を抜き取りつつ、バンクでは技術トレーニングを主にやっています。1人でやるときは心肺を使うような追い込み系ですね。ZWIFT(ズイフト:バーチャルロードレース)もやるようになりました。

Q:守澤選手と同じですね。

ZWIFTは守澤さんと一緒にやったりしますよ。効率よくやらないといけないと考えた時、ズイフトは強いですね。

守澤太志, 新田祐大, 新山響平, KEIRINグランプリ2022前夜祭

僕は1本やったら1時間くらい空けるんですけれど、守澤さんは30分後とかのレースにも出ていますから、強いです。

Q:ライフスタイルが変わったことによってやり方も色々変えたってことですね。

これが正解かは分かりませんが……良い練習になっているとは思います。

セッティングの「宗派」

新山響平, 最終日12R, 競輪祭, 小倉競輪場

Q:新田祐大選手も新山選手も、ナショナルの重いギアで練習していたことが影響していると思うのですが、たまに踏み方がスカスカしてると感じることがあります。

そうですね、乗り方の問題だと思います。競輪の乗り方だと「ガン!」と踏むことができないというか、打点が違うというか。続けないと上手くできないですね。

重ギアだと力を入れて踏んでも、ギアが重い分綺麗に回るんです。でも競輪の軽いギアだと、踏まなくて良いとこで踏んでるからスカスカする感じ。脚にもすぐ疲れが溜まります。

Q:では、何か工夫をしていますか?

はい。僕は今、サドルの鼻が下がってるんですけど……

Q:それ、考え方としては守澤太志選手と一緒ですか?

そうです、同じ宗派です。でも守澤さんほど下げてはいないですよ(笑)!守澤さんは3年くらいやった結果らしいですが、僕はまだ4ヶ月くらいです。サドルが平行だと、前足を結構使ってしまうんですよね。前傾のサドルなら、足に力を入れなくても勝手に足が下がるという理屈です。

この乗り方は寬仁親王牌で投入したのが最初でした。練習でできてたからいけるかなと思って1日目で一気に下げたら上手くいかず。どうしようも無くなってタレちゃった(後半でスピードが落ちた)から、少し上げてみたところ、うまく合いました。だから親王牌は2日目から良かったんですよね。

Q:そう聞くと、セッティングって大事なんですね。

大事ですね。

渾身のレースは「競輪祭決勝」

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