強さより、長さを求めたい

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ブノワ「守澤選手は『良い競輪選手』」

ブノワ:私が日本に来たばかりの頃、当時の競輪学校の先生に「競輪選手としてはどのような選手が良い選手なんですか?」と聞いたんです。そうしたら「先行する選手」と言われました。でも私は「お金を稼げる選手」だと考えます。そうお話ししたら、先生はショックを受けていましたね(笑)

そんなことがかつてあったんですが、守澤選手はまさに自分の考える「お金を稼げる選手」だと思います。私がとても好きなレースをされています。

守澤:ありがとうございます。

ブノワ:守澤選手のようにスキルを使って勝てる選手を育てていくことが大切ですし、もし私自身が競輪選手だとしたら、おそらく追い込み型でしょう。守澤選手のスタンスはとてもよくわかります。守澤選手は他の選手たちにとってとても良い参考になっていると思います。先行するだけじゃなくて様々な走り方をして競輪選手として大成している。それを体現している人ですね。

自分では「弱い」と語られますが、結果を見ると「強い」です。先行の選手が賞賛されることが多いと思いますが、私は自分の技術とスキルを使って勝っていく選手の方が好きなんですよね。

競技でも上を見れば、オランダのハリー・ラブレイセンとかジェフリー・ホーフラントのような2500ワットとか出せる選手がいるわけです。それに比べてワッキー(脇本雄太)はマックスパワーが全然足りません。それでも展開によっては勝つことができます。

競輪でも、競技でも、「競輪/ケイリン」という種目は勝つ方法がたくさんある中で、それをどう選んでいくかなんですよね。だから「競輪/ケイリン」は面白いなと思います。ナショナルチームも結局はバケモノみたいな海外選手にパワーでは勝てないこともあります。そういった時に他の戦法を選ぶという点は同じですね。

守澤:そうですね。自分の土俵に持ち込みたい、と思っています。

平常心でグランプリ当日を迎える

ブノワ:KEIRINグランプリ2022に向けて特別な準備をしていますか?それともいつも通り?

守澤:いつも通りです。淡々とグランプリまでを過ごしている感じですね。特別なことは何もしていません。これまでの経験上、特別なことをしたところで強くなるわけでもないので、それだったら今まで通りやって今まで通り走るのが一番良いのかな、と思っています。

ブノワ:勝つ自信はどうですか?

守澤:正直厳しいです。厳しいですけど、チャンスはなくはないかな、と思っています。今回のグランプリは追い込み選手が少ないので、最後の直線でのチャンスは多いと思います。(佐藤)慎太郎さんもそうでしたけど、グランプリは追い込みの選手が勝つ傾向があります。

インタビュー後編では守澤選手から見るナショナルチームの姿や、2人の意外な接点などをお届けする。

【後編】守澤太志 × ブノワ・ベトゥ「『人と違うこと』は必須」/KEIRINグランプリ2022特別企画

KEIRINグランプリ2022インタビュー
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