淡々としたレースの中でのかけひき

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ここだ!

窪木一茂, KUBOKI Kazushige, JPN, アレックス・フォーゲル, VOGEL Alex, SUI, ロイ・エイフティング, EEFTING Roy, NED, Men's Scratch, 2022 Track World Championships, Saint-Quentin-en-Yvelines, France

Q:残り10周、前の方にいるメンバーで決まるのかなという感じも受けていました。

メンバーも良かったですね。

Q:でも少し緩んだところで後ろが追いついて……残り10周を切ると、ここからアタックはなかなか難しいですよね?

そんなことないですよ。世界選手権だからかもしれないですが、残り8周あたりで単独アタックが発生したりもします。このレースでもスイスの選手がそれを狙っていました。

Q:そういう動きを、窪木選手はレースの最中に見えていましたか?

全体として連なってるのを見ていましたね。あとはペースを気にしていました。

Q:そして残り6周で窪木選手が外から上がってきました。

ドノヴァン・ゴロンダン, GRONDIN Donavan, FRA, 窪木一茂, KUBOKI Kazushige, JPN, Men's Scratch, 2022 Track World Championships, Saint-Quentin-en-Yvelines, France

5周で前に出るということは決めていたんです。だから「ここだ!」と思っていました。そしたらフランスの選手も出て来ましたね。フランスの選手が前にいたことは、運が良かったです。彼は去年のチャンピオン*なので。

※ドノヴァン・ゴロンダン(フランス)

不安はなかった

Men's Scratch, 2022 Track World Championships, Saint-Quentin-en-Yvelines, France

Q:でも前との差は結構開いていました。この時「届かないかも」という不安はなかったですか?

なかったです。フランスはしっかり調整しているものだと思っていましたから。ゆっくり詰めて詰めて、と走って……後ろから来た選手は、競輪で言うところの「ヨコの動き」的に、外側に飛ばそうと思っていたんです。だけどちょっと遅かったです。

フランスの後ろにつけたことは良かったんですけど、ベルギーの選手と絡んだところで、フランスの選手が力を発揮しなかったんですよね。僕も他力本願だったとは思うのですが。

Q:残り2周で周りを囲まれたところでは、どんなことを思ってましたか?

みんな外に膨らんで行くので、内側から抜け出せるタイミングが意外にあるんです。それを狙っていました。内側に粘って最後の機会を狙うということが去年の反省から学んだことですね(去年は5位)。

でもフランスの選手を信用していたこともあって「包まれないだろう」と思ってたんです。結果は包まれましたが……

最後は「よしいくぞ!ガーッ!」と

窪木一茂, KUBOKI Kazushige, JPN, ロイ・エイフティング, EEFTING Roy, NED, ディラン・ビビック, BIBIC Dylan, CAN, ツーア・デンス, DENS Tuur, BEL, Men's Scratch, 2022 Track World Championships, Saint-Quentin-en-Yvelines, France

Q:そんな状態で迎えた残り1周です。

包まれて、ヤバいなと思いました。でもここで内側に粘って前に行って。もうそこは感覚ですね。1回3コーナーで出て、ちょっと休んで、そこから「よし行くぞ!ガーッ!」みたいな。

正直、2着だとはわからなかったです。届いてるかどうかよくわからなかった。3か4かなと思っていました。

Q:分かったのはどのタイミングだったんでしょう?

下に降りて、どうだったどうだった、ってモニターを見た時ですね。2着だと分かった瞬間は嬉しかったです。金に届いてないのは分かっていたけれど、2着には入れたので。

去年は良い位置にいて、ラスト2周くらいで「アルカンシェルを獲らないとダメだ!」って思った結果の5位でした。結果を受けて、「まずはメダルからだな、ステップアップだな」と思ったんです。今年2位になれたことは、去年悔しい思いをした分嬉しかったですね。

次は金メダル!

Q:来年2023年に向けて、スクラッチにおける課題はありますか?

ありますが、スクラッチだけじゃないですね。銀メダルはさまざまなラッキーも重なって獲れたものだと思っています。まだ来年のスクラッチのことは考えていません。でも出ることになればしっかりと金メダルを目指したいと思います。

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