幻となったチームスプリント
Q:チームスプリントについてお聞きします。結果は順位なしとなってしまいましたが……
1走者の到着地点前に、僕が1走者を抜いてしまったことが失格の原因でした。僕個人の技術がまだまだ足りなかったのだと思います。
Q:これまでの練習でも同じようなことはあったのでしょうか?
はい、何度か同じようなミスはありました。それよりもスタートで失敗することなどを心配していたんです。でも実際の本番ではスタートはうまく行って、その後もうまく行って、最後の最後で失敗してしまった形でした。
Q:タイムが良かっただけに残念でしたね。
そうですね。2本目、3本目が走れていたらもっとタイムが上がっていただろうなと感じます。自分としてはもどかしい状態でチームスプリントが終わりました。
Q:ヘコみましたか……?
めちゃめちゃヘコんでいたとは思うんですが、大会4日目にはスプリントのレースも控えていたので「日本に帰ってから落ち込もう」と考えないようにしていました。
Q:でもタイムも出て、手応えは感じましたか?
はい。自分としてはもっともっといけると思うし、その辺りをコーチがどう評価してくれるかだと思います。
Q:今回は2走として出場しました。1走は長迫吉拓選手が磐石ですけど、2走・3走のポジションは流動的なのかなと思います。
そうですね。3走はやったことがないですが、役目として与えられればどこでも頑張ろうと思っています。
「キーマン」のいるチームが強くなる
Q:これから加えていきたいものって何でしょう?
今回の世界選手権で「世界と戦うにはどうすれば良いか」が自分の中で見えてきたなと感じました。まず基本的な身体のレベルアップ、筋力面でのレベルアップが必要だと思っています。生命体として強くなるというか……(笑)あと単純に技術力も必要です。
これまで「世界のレベル」を目の当たりにしてきませんでした。何がどれだけ必要かわからないまま練習していたのですが、良い意味で「あとこのくらい頑張らなければいけない」がわかったので、すごく良かったなと思います。
Q:他国のチームで印象的だったことはありました?
オランダやオーストラリアは頭ひとつ抜けていますが、あのあたりのチームは「キーマン」となるすごく強い選手が1人います。オランダならハリー・ラブレイセン、オーストラリアは2人になるんですが、1走を16秒台で入ったレイ・ホフマンと、マシュー・リチャードソン。その「キーマン」の選手が積極的なレースをして、チームを引き上げているな、と感じます。
日本は1人が抜きん出てるというよりは、チーム全体のバランスが良くてタイムが出せている感じ。これは中国など、他の国もそうです。でもそこから抜け出すためには、強い選手が1人2人いる必要があるんだなと思います。
Q:じゃあ太田選手がそれになってしまえば良いですね。
そうですね(笑)そうなるために、個人種目をもっと頑張る必要があると思っています。