中長距離ヘッドコーチ、イアン・メルビン氏による2017-18シーズンの振り返りインタビュー。梶原悠未選手に抱く期待、希望とは。

実は、梶原選手はキャリアが浅い

まず梶原悠未選手については、レース内容よりもっと手前のことから話しましょう。

まず今シーズンにおける彼女の成功により、周囲が彼女のエリートにおける選手暦を勘違いしているような気がします。彼女が本当の意味で、ハイレベルなオムニアムのレースを行った回数は両手で数えるほどでしょう。なので、実はキャリアが浅いのです。

そのような経験しかない彼女が世界のトップと戦った場合、位置取りでは少し気後れというか、躊躇してしまう部分が出ていると思います。

ただ、今シーズンは彼女にとって大きな意味を持っていますし、大きな成長を遂げたシーズンです。

今シーズンが来期の糧になり、トップへの道筋となる

世界選手権の結果は失敗ではありません。期待通りとは言えませんが、彼女が行ったこと一つ一つが意味を持ち、来シーズンで更に強くなるための糧になると思っています。そしてトップへ辿り着くまでの道筋にもなるでしょう。

レースは全体的に見ると、とても良い走りをしたと思っています。スクラッチは色々ありましたが、テンポレースエリミネーションでの走りは良かったですね。

ただポイントレースは不運な事に、少し上手くいきませんでした。選手たち皆が前を気にしすぎ、後ろから追い上げる選手に気づかないレースでした。フラストレーションが溜まりましたが、良い経験、良いレッスンとなったレースでした。

梶原選手のプライドは傷つけられたでしょう。ただ、そこから彼女が這い上がり、より良い選手になって次のシーズンを迎えると、私は信じています。

梶原悠未「オリンピックでは悔し涙を流さない」女子オムニアム、レース後インタビュー/トラック世界選手権2018