ドイツの心優しきゴリラ スプリンター、アンドレ・グライペル(André Greipel)の半生を振り返る

アンドレ・グライペル選手(André Greipel)はドイツ出身のロードレース選手。

その体格から「ゴリラ」との愛称で親しまれている。脚質は屈強な見た目通り、生粋のスプリンター。ロードレースのゴール前、選手たちは位置を争い、格闘技さながらの闘いを見せるが、グライペル選手は誰よりも紳士的なスプリントで、豪快かつ華麗な勝利を挙げる。

ベテランの域に差し掛かったグライペル選手の、ツール・ド・フランスを軸とした、半生を振り返る。

アンドレ・グライペル(André Greipel)選手のプロフィール

名前:アンドレ・グライペル(André Greipel)
生年月日:1982年7月16日
出身地:ドイツ
身長:183cm
体重:80kg超
愛称:ゴリラ
趣味:音楽
好きな食べ物:ハリボーのグミ

不遇のキャリア序盤、カベンディッシュの存在

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グライペルはプロデビューから間もなく、スプリンターとしての才能を見いだされ、トップチームの一つ「チーム・T-モバイル(後のチーム・HTC-コロンビア)」に所属。

2008年には初出場のジロ・デ・イタリアでステージ初勝利を挙げ、翌年のブエルタ・ア・エスパーニャでは4勝を挙げ、ポイント賞を獲得するなど順調にキャリアを積み重ねる。

しかし、これ程の実績があっても、ツール・ド・フランスへの出場が叶わなかった。なぜなら、同じチームのエーススプリンター、マーク・カベンディッシュの存在である。

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カベンディッシュはその出身地から「マン島ミサイル」の異名を持つイギリス人スプリンターである。自転車トラック競技出身、20歳で世界選手権を制覇した実績を引っ提げてのロードレースにデビューである。

二人のエーススプリンターを同じレースに使うのは合理的でない。どちらかが勝てるだろうと考えるほど、レースは甘くないもの。多くのアシストがいてこそ、スプリンターが活きるわけで、エースは一人で十分だ。

チームがエースとして選んだのはカベンディッシュだった。カベンディッシュは期待に応え、2009年のツール・ド・フランスでステージ6勝を挙げ、同年のジロ・デ・イタリアを合わせ、グランツール年間10勝という圧倒的な結果を残した。

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もちろんグライペルはカベンディッシュに劣っているつもりはないが、チームの方針には逆らえない。その年、チームは100勝以上を挙げ、チーム部門での年間最多勝となり、戦略は間違っていなかったことも証明された。もちろん、それにはブエルタ・ア・エスパーニャでの4勝を含めたグライペルの20勝も貢献している。

十分な機会が与えられないことを不満に思い続けたグライペルは、2010年シーズンの契約終了と共に、5年間過ごしたチーム・HTC-コロンビアを離れることを決意した。

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チーム在籍の5年間でグランツール6勝という実績を「不遇」と呼ぶのは違和感があるだろう。しかし、グライペルのその後の活躍を見れば、決して言い過ぎではないはずだ。

チームとの決別、そして念願のツール初勝利