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バンクでスキー
今度はバンク練習の撮影へと戻る。こちらも大雨により練習は一時中断していた。
ブノワヘッドコーチが「スキーする」とバイクで走り出す。右足に注目。大雨で水が溜まったバンク上を、ジェットスキーの様に脚を滑らせる。
ブノワコーチはオンのスイッチが入っている間は世界最怖のコーチであるが、オフスイッチになっている間は少年の様に小さな楽しみを常に見出そうとするお茶目な人だ。
この日最後のメニューは脇本雄太選手のトレーニング。ジェイソン・ニブレットコーチが相手役を務める。
雨の中バイク誘導の後ろへつくと、バイクが巻き上げた泥が顔面を直撃するそうだ。
「口に泥が入るー!ぺっぺっ!!」
現役選手かと見まごうムキムキぶり。各国チームコーチ陣の中でもトップレベルのマッチョ加減。
脇本雄太選手は粛々とメニューをこなす。
歩み続けた長い道のりも、間もなく終わり。More CADENCEが立ち上がった当初の日本チームは、この天気の様に大嵐の只中に居た様にも思える。予選、1回戦敗退が当たり前だった時代から、今やブノワコーチが自身を持って「メダル無しにオリンピックを終える事は大きな失敗」とまで言い切る程、日本チームは強くなった。
日本選手が出場する種目が行われる8月4日以降、長い冒険の結末が訪れる。