世界選手権がもたらす経済効果

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経済効果はプラスに

トラックワールドカップ

データ分析会社「EY社」の報告書によると、UCIトラック世界選手権とUCIシクロクロス世界選手権により、開催都市・地域の経済活動で計600万ユーロ(約7億7000万円)近くの経済効果が生み出された。

そのうち、ドイツ・ベルリンで開催されたUCIトラック世界選手権での総来場者数は2万人(これには選手、スタッフ、メディアなども含まれており、観客としての来場者数は9,500人)。45カ国から1,000人以上の選手やスタッフ、300人以上のメディアが参加し、平均滞在日数は4泊、来場者が1日で使った平均金額は96ユーロだった。

この大会の開催によって、市と地域へのGDP(国内総生産)に約270万ユーロ(約3億4900万円)の貢献も。これは1年間に101人を雇用した場合と同等とされる。

GDPへの貢献 270万ユーロ
大会参加者数(選手、観客、スタッフなど) 20,000人
参加者の出費合計 130万ユーロ
選手・チームスタッフの合計人数 1,016人
選手・チームスタッフの出費合計 140万ユーロ
メディア関係者人数 304人
メディア関係者の出費合計 24万ユーロ

大会は世界中のテレビで放送され(98カ国での累計視聴者数は1億9,600万人)、SNSでも大きく取り上げられた(Instagramでのインプレッション※1数は740万、Twitterでのインプレッション数は350万、Facebookでのアクセス数は990万人)。

SNS インプレッション/リーチ 動画再生回数
Instagram 740万 60万
Twitter 350万 49万
Facebook 990万 100万

※1インプレッション…閲覧者が投稿を目にした回数のこと

今大会の特徴をまとめると以下の通り。

  • 総来場者数の82%がドイツ国内から
  • 総来場者数(調査対象者)のうち92%が「満足」「非常に満足」と回答
  • 9500人の現地観客(2018年のアペルドールン大会では5600人)

UCI会長のダビデ・ラパルティアン氏は

「COVID-19の危機が2020年シーズンに深刻な影響を与えたにもかかわらず、開催できたイベントはスポーツ面でも経済面でも非常に成功しました。EYが当連盟の支援を受けてまとめた報告書から、UCI世界選手権が開催都市とその地域に極めてポジティブな影響を与えたことがよくわかります。報告書が示すように、シクロクロスおよびトラック世界選手権は、サイクリングと観光客の面で、地域経済に多大な貢献をしました」

と述べている。

パンデミックが本格化する前に開催された大会だったが、これらのデータから「大会は成功」と言えるだろう。今後新たに始まるネーションズカップなど、これからのトラック競技の発展にも期待だ。

2021 UCIトラックネーションズカップ開催日時が発表、3大陸で開催

出典:The economic impact of the 2020 UCI Cyclo-cross and Track Cycling World Championships,
UCI Events economic impact report Annual review of 2020