2021年7月23日に開幕を予定している「東京2020オリンピック」。その日を迎えるにあたり、過去大会では「どんな選手が活躍し、どんなドラマが生まれたのか」を振り返ることで、この4年に一度の祭典をより一層楽しむことができるかもしれない。
というわけで、本記事ではその第1弾として「2008年北京オリンピック」の自転車トラック競技を振り返っていく。
2008年北京大会 トラック競技開催種目
男子 | 短距離 | スプリント | チームスプリント | ケイリン | |
中長距離 | 個人パシュート | チームパシュート | ポイントレース | マディソン | |
女子 | 短距離 | スプリント | |||
中長距離 | 個人パシュート | ポイントレース |
イギリス黄金期の幕開け
北京で開催された2008年大会を一言で表現するなら「イギリス黄金期の幕開け」だろう。
もとより強豪国のひとつだったイギリス。とはいえ「首位独走」と言うほどの圧倒的な成績ではなかった。
しかし2008年北京大会では、合計10種目(男7:女3)のうち、7種目で金メダルを獲得。メダル総数は12個で、2位のスペイン(3個)の4倍と、圧倒的な強さを世界に見せつけた。
参考:オリンピック公式リザルト
イギリス人として100年ぶりの快挙
イギリス選手たちの中でも特に好成績を残したのが、2005年の国際競輪(現在の短期登録制度)で来日、日本の競輪にも出走した経歴を持つクリス・ホイだ。
ホイの得意種目だった1kmTTは、2004年大会を最後にオリンピック種目から除外。しかし2008年大会ではケイリン、個人&チームスプリントの3種目に出場し、その全てで金メダル獲得した。これには日本の競輪の経験も活きたとされる。
「1大会3冠獲得」はイギリス100年ぶりの快挙。その功績を讃え、イギリス王室は「大英帝国勲章」の『KBE(ナイト)』の爵位を授与。「サー・クリス・ホイ」の称号を得ることとなった。
なお2008年大会のケイリンでは、現在もS級2班の競輪選手として活躍する永井清史が銅メダルを獲得している。本大会のトラック競技で、唯一の日本人メダリストとなった。
参考:CyclingWeekly Gazette誌(大英帝国勲章のランクについて)
トラックとロード 二刀流のレジェンド
ホイだけがイギリスチームではない。もう1人のスーパースターは、ブラッドリー・ウィギンスだ。
ウィギンスはチームパシュート金メダルに加え、個人パシュートでも大会新記録を更新し金メダルを獲得し、大会2冠を達成。
ウィギンスは元来ツール・ド・フランス(以下ツール)やジロ・デ・イタリアにも出場するほどのトップロードレーサー。この翌年にはツールに出場し、イギリス人選手として最高成績の3位入賞を果たしている。
※もともとランス・アームストロングが3位だったが、大会の3年後、ドーピングが発覚し失格に。この結果ウィギンスが3位に繰り上がった。
参考:オリンピックチャンネル