延期を経て豪州王者決定戦が実施
2020年12月16日〜20日にかけて、オーストラリアのブリスベンで開催された「オーストラリアトラックナショナル選手権2020」。
当初は8月に予定されていたが、新型コロナウイルスの影響で12月へと開催が延期に。大会開催時点では一部の州への移動に対する申告が義務付けられていたが、最大1500人までのイベント開催が許可されるなど国内で徐々に緩和されてきた状況の中で開催された(2021年1月6日現在の情報では、2020年12月20日夜以降に再び規制が厳格化されている)。
コロナ禍で開催されたという事もあり、東京オリンピックの代表に選考されている選手のエントリーは男子短距離種目のみ。実施カテゴリーはU19とエリートと2つのカテゴリーでの国内タイトル争いとなった。
また、男子短距離種目にはマレーシアから2017年のケイリン世界チャンピオンでもあるアジズルハスニ・アワンが出場し、マシュー・グレーツァーらオリンピック代表らと熱戦を繰り広げた。
※オーストラリア自転車競技連盟には、オーストラリア国籍を持つ居住者のみが参加できる「Domestic Championships」と、国籍関係無く各国競技連盟によって発行されたUCI国際ライセンスを所持し、オーストラリア自転車競技連盟によって大会への参加が許可された者が参加できる「Open Championships」の2部門がある。今大会は「Open Championships」。詳しくは以下レギュレーションのAuscycling-technical-regulations 2.00 STATUS OF AUSTRALIAN CHAMPIONSHIPS より
本記事では、パリオリンピックでの活躍が期待される若手の選手が多数出場した、エリートカテゴリーの結果まとめをお届けしていく。
男子短距離種目
男子チームスプリント
東京オリンピック代表メンバーのナショナルチーム(マシュー・グレーツァー、ネイサン・ハート、マシュー・リチャードソン)が42.282とトップタイムを記録。
しかし、オーストラリア自転車競技連盟の規則に従い、ナショナルチームでの出走はチャンピオンジャージとタイトル獲得の対象外となるため、2位のサウスオーストラリアチーム(リー・ホフマン/ジェームズ・ブリスター/カルロス・カリスモ)が男子チームスプリント国内王者となった。
※Auscycling-technical-regulations 2.03 02 ELIGIBLITY OF STATE CHAMPIONSHIP COMPETITORSより
ホフマンとブリスターはパリオリンピックを見据えた育成チーム「オーストラリア・ポディウムアカデミー」の選手たち。既に43秒台を記録するなど、今後に期待がかかる。
順位 | チーム(名前) | 記録 |
1位 | ナショナルチーム(マシュー・グレーツァー/ネイサン・ハート/マシュー・リチャードソン) | 42.282 |
2位 | サウスオーストラリア(リー・ホフマン/ジェームズ・ブリスター/カルロス・カリスモ) | 43.917 |
3位 | ビクトリア・クイーンズランド(バイロン・デイビス/サム・ガラハー/ネド・ポラルド) | 45.474 |
男子スプリント
男子スプリントには東京オリンピック代表メンバーのリチャードソンとハートが出場。また、マレーシアからはアジズルハスニ・アワン(マレーシア)とムハマド・シャローム(マレーシア)も特別参加した。
予選の200mTTはリチャードソンが9.622、ハートが9.676のタイムをマークし、若手のジェームス・ブリスターが9.737。
決勝はリチャードソン対ハート。3本目までもつれ込んだ勝負をリチャードソンが制し、国内タイトルを獲得した。
銅メダル争いはブリスター対アワンとなり、これをブリスターが2本先取で制した。
順位 | 名前 |
1位 | マシュー・リチャードソン |
2位 | ネイサン・ハート |
3位 | ジェームズ・ブリスター |
男子ケイリン
男子ケイリン決勝にはグレーツァーとリチャードソンに、マレーシアから特別参加のアワンとシャローム、ポディウムアカデミーのリー・ホフマンとハイレベルな戦い。
順位 | 名前 |
1位 | アジズルハスニ・アワン(マレーシア) |
2位 | マシュー・グレーツァー |
3位 | ムハマド・シャローム(マレーシア) |
マレーシア勢が1位と3位を獲得。オーストラリア人としてはグレーツァーが唯一の表彰台に。しかしながらオーストラリア自転車競技連盟の規則に従い、グレーツァーがケイリン国内王者となった(アワンのように規定を満たした外国人選手もレースには参加できるが、国内王者の称号はオーストラリア永住権保有者にのみ与えられるため)。
※Auscycling-technical-regulations 2.03 02 ELIGIBLITY OF STATE CHAMPIONSHIP COMPETITORSより
上記の規定により、チャンピオンジャージ及びタイトルを獲得したのはグレーツァー。しかし表彰後、グレーツァーはチャンピオンジャージをアワンへとプレゼントしている。
アワンは13年間、ビクトリア州のメルボルンに住んでおり「自分はビクトリア州の代表だとも思っています。ジャージのコレクションに、オーストラリアチャンピオンジャージが加わってとても嬉しいです」とコメントしている。
1kmTT
2020年トラック世界選手権の男子チームスプリントにてメダル獲得歴のあるトーマス・コーニッシュが、唯一の1分フラット台となる1:00.494で1km国内王者に。
順位 | 名前 | 記録 |
1位 | トーマス・コーニッシュ | 1:00.494 |
2位 | ジョシュ・ダッフィー | 1:01.136 |
3位 | グレーム・フライズリ | 1:02.425 |