世界選手権者ジャージ
国内、大陸と来れば、その上は世界。もちろん世界選手権者にもジャージが贈られる。白をベースに、5色のボーダーライン。これを身にまとう選手はその出場種目で「世界一」を意味し、1種目につき世界でたった1人だけが許される特権だ。
通称「アルカンシェル」とも呼ばれる世界選手権者ジャージ。アルカンシェル(arc-en-ciel)とはフランス語で「虹」を意味する。
(ちなみに、アーティストのL’Arc-en-Cielから冠詞のleを取ったものと同じだ)
参考:「The history and the records of road’s rainbow jersey」
日本で疾走するアルカンシェル
2020年の世界選手権女子オムニアムで優勝し「世界一」となった梶原悠未。2020年11月に行われた全日本選手権では、世界一の証であるジャージ「アルカンシェル」を着用しオムニアムに出場した。
2020年の全日本選手権は「アルカンシェルが日本で見られる」という点で貴重な機会でもあった。
チャンピオンジャージの序列
ここまで日本・大陸・世界選手権者ジャージを紹介したが、それ以外にもチャンピオンジャージ、あるいはそれに並ぶようなジャージがあり、着用の優先度が決められている。
優先順位は以下の通り。
1 | ステージ・レースのリーダージャージ |
2 | カップ、シリーズあるいはUCIランキングの首位者ジャージ |
3 | 世界選手権者ジャージ |
4 | 大陸選手権者ジャージ |
5 | 国内選手権者ジャージ |
6 | ナショナル・ ジャージ(世界選手権大会のようなナショナル・チームによる競技大会) |
7 | トレード・チーム・ジャージ |
出典:「UCI CYCLING REGULATION(1.3.071)」
チャンピオンだけど、チャンピオンジャージを着ない?
この優先順位の面白さを説明するために、一度トラックから離れて、ロードの話を出させていただこう。
2015年から世界選手権で3冠しているペテル・サガン。世界選手権で優勝していても、ロードレースの各大会ではリーダージャージを着用していた。
またどの競技においても、大陸選手権と世界選手権では、全ての選手にナショナルチームジャージの着用が義務付けられている。
出典:「UCI CYCLING REGULATION (1.3.059)
2020年世界選手権トラック男子ケイリンには、日本選手権者の新田祐大、アジア選手権者のアジズルハスニ・アワン、そして2019年のケイリン世界チャンピオンであるマティエス・ブフリが参加。彼らはそれぞれのチャンピオンジャージを持っているが、ナショナルジャージで出走した。
世界選手権や大陸選手権は各選手がこれまでに得たチャンピオンの称号を一度置いて、他でもない「一国の代表」として挑む場所なのだ。