決勝戦

決勝戦の組み合わせは脇本雄太vsアジズルハス二・アワン。脇本が勝てばこの種目自身初の優勝、そしてアワンが勝てば6度目のアジアチャンピオンとなる。

実績だけをみればアワンが有利。しかし、予選のスピードでアワンを上回っている脇本にとっては得意な展開に持ち込めれば勝機が見えてくる戦い。

1本目。脇本が外側、アワンが内側で2人が並走する形で残り2周を切る。バンクの大外から自分の仕掛けるタイミングを探る脇本だったが、その仕掛けを許さないアワンがピッタリと内側に寄て並走する形で徐々にペースが上がっていく。

なおも並走状態のまま、残り1周。脇本がバンクの角度を使って加速していくものの、インコースで粘るアワンによってスピードに乗ることができない。

外並走が続くのは厳しい脇本(相手よりも外側を走るということはそれだけ走る距離が長くなるため)。それでも力で前にでようとする脇本。前に行かせないアワン。

互いに譲らぬまま迎えた最終4コーナー。インコースのアワンがわずかに先行する形でホームストレートに入ると、ここから脇本が強烈な追い上げを見せる。

フィニッシュ直前で再加速して脇本が先着し、1本目を取った。

2本目は脇本が前、後ろにアワンという体制で進んでいく。脇本は、後ろを警戒しながら徐々にペースをアップ。一方で脇本の後ろにピッタリとつけるアワン。

残り1周、脇本は得意のロングスプリントで勝負を決めるべく、全開でペダルを踏んでいく。しかし、それでもなおピッタリと追走するアワンが最終バックストレートで加速する。

最終コーナーで並びかけたアワン。フィニッシュ直前で脇本を交わし2本目は先着。

これでお互い1本ずつ。勝負は3本目へと突入することになった。次のレースでオリンピック前のアジア最強スプリンターが決定する。

3本目は2本目同様、脇本が前、そしてアワンがその後ろをピッタリと追走していく。

残り1周を前にバンクの最上部にあがった脇本。そのまま斜度を使って加速を開始して残り1周。

アワンは脇本のインコースにあいたスペースを見逃さず、すかさず内側に飛び込んで一気に前に出る。そして全開で逃げ切りをはかったアワンを今度は脇本が追走していく。

最終4コーナー、脇本は最後の直線勝負でアワンに迫るが、わずかに届かず2着。

アワンが3本目を制し2連覇、通算6度目のアジア王者に輝いた。

アワンが初タイトルを手にしたのは2008年。それ以降、アワンはアジアはもちろん世界トップに君臨し続ける小柄なスプリンターだ。

優勝:アジズル・ハスニ・アワン (マレーシア)
2位:脇本雄太 (日本)
3位:深谷知広(日本)

大会公式リザルト(PDF)

脇本雄太インタビュー

実戦慣れしている選手に、1本取れたのは収穫でした。僕自身スプリントの経験が少ないので、小細工なしに自分の力を出すためにはどうしたら良いのかを考えた結果が、今回の戦い方でした。それを磨けばもっと戦えるんじゃないかと思いました。

オリンピックポイントも獲れましたし、世界選手権への出場も近づいたと思うので、この戦いを糧にワールドカップでも頑張りたいと思っています。

深谷知広、銅メダル