4種目目:ポイントレース

女子オムニアムの最終種目ポイントレースはトラック80周(20km)で行われ、ここまでの得点を持ち点としてスタートして、フィニッシュ時点のポイントで優勝が決定する。

得点は、10周回ごとに設けられたポイント周回でフィニッシュラインを通過した順に1着5点、2着3点、3着2点、4着1点がそれぞれ与えられる。また、集団を1周追い抜きが成功すると20点が加算される。

3種目が終わった時点での梶原の得点は118点。2位と12点差というアドバンテージはあったものの、今の梶原にはその得点を「守り抜く」といった気持ちはなかった。常に世界トップレベルのレースをイメージして戦いに挑む梶原は、攻めの姿勢を貫き通して勝利を目指す。

ポイントレースを迎えるにあたり、梶原が注意すべき選手は、暫定2位のリー・ジーウィン(香港) 、暫定3位のワン・シャオフェイ(中国)、暫定4位のザべリンスカヤ(ウズベキスタン)、そして暫定5位のスルタノフ(カザフスタン)。

ライバルたちに大量得点を与える集団追い抜きをさせてはいけない中、梶原は上位選手たちの動きを封じていく。誰かがアタックすれば、すぐさま飛びつき、逃げを許さず。そしてポイント周回が近づけば、集団の先頭に出て、自ら風をきり集団を牽引。そしてそのまま1着でポイントを重ね、更に1周追い抜きでもポイントを重ねる。

その展開が何度も繰り返される。

結果、最初のポイント周回こそ逃げた下位の選手に5ポイントを奪われたものの、その後は立て続けに1着通過を果たし、5点を取っていく。

残り20周のポイント周回を通過した時点での得点は

1位:梶原悠未 (日本)146点
2位:ワン・シャオフェイ (中国)119点
3位:リー・ジーウィン(香港) 112点

しかし、その後、残り15周を残してライバルたちが梶原に攻撃を仕掛ける。残り15周でワン・シャオフェイ(中国)、ザブリンスカヤ(ウズベキスタン)がアタックして先頭へ飛び出す。

ここまでのように、すぐさま逃げを捕らえられなかった梶原は、遅れをとって追走を開始する。そこにリー・ジーウィン(香港)、スルタノフ(カザフスタン)も加わり3人の追走集団を形成していく。

徐々に先頭との差をつめていく追走集団だが、先頭の2人がメイン集団に迫っていく。残り10周のポイント周回を ワン・シャオフェイ (中国)が1位通過して5点を獲得。追走する3人の中で梶原は最後尾で通過したため得点を得られず。

さらに、 ワン・シャオフェイ (中国)はスピードを落とさず、残り8周でメイン集団を1周追い抜きすることに成功して20点を加算。これにより一気に144点まで得点を伸ばし、梶原との点差は僅かに2点となってしまった。

しかし、その状況をみた梶原がすぐさま追走集団からペースアップ。残り5周で梶原もメイン集団に追いつき20点を加算することに成功する。これにより再び得点差が開き、梶原の優勝がほぼ確定した。梶原は残り1周でペダルを踏む力を緩め、ゆっくりと、そして喜びかみしめてフィニッシュラインにむかった。

「3月の世界選手権が終わって以降、スピード強化に取り組んできました。それを今回のレースで活かすことができ、まずはアジアの中でトップであることは確認できました」とレース後にコメントした梶原。

世界と戦うために足りないものを自らみつめ続けてきた梶原。その課題をクリアすべく厳しい練習に取り組んできた成果がしっかりと結果に現れる形となった。

「この後、世界に挑戦するためにはアジア選手権のタイトルはとても重要だと思っていたので、しっかり狙って勝てたことはとても良かったです」

4年連続でアジアの頂点に立ち続けてきた梶原だが、その勝ち方は年々凄みを増している。

常に世界をみつめて戦い続けてきた彼女の戦いは、いよいよワールドカップシーズンの開幕とともに本格的に始まっていく。

女子エリート オムニアム最終結果

1位:梶原悠未(日本)166点
2位:ワン・シャオフェイ(中国)144点
3位:リー・ジーウィン(香港)137点

大会公式リザルト(PDF)