8月26日に岐阜競輪場で「競輪ワールドシリーズ2026」男子S級決勝が実施された。決勝には地元の人気選手・山口拳矢、神奈川の強豪・松井宏佑ら、日本競輪を代表する実力者が顔を揃えた。そんな強豪日本勢に挑んだのが、オランダのハリー・ラブレイセンと、イギリスのジョセフ・トゥルーマン。
前日のレースで連携を表明した2人は、その名前から「True Love(トゥルーラブ:真実の愛)ライン」を結成。決勝ではラブレイセンが前、トゥルーマンが後ろを固める形で、日本勢との戦いに臨んだ。

赤:ラブレイセン 青:トゥルーマン
山口のけん制、それでも突き抜けたラブレイセン
レースは決して簡単なものではなかった。勝負どころではラブレイセンが山口拳矢のけん制に遭う場面も。一時は進路を失いかける厳しい展開となったが、世界最強の男は止まらず、再度加速して最も速くフィニッシュラインを駆け抜けた。
レース後、ラブレイセンは笑顔で振り返る。「勝てたこと自体がとても嬉しい。僕は日本の競輪を楽しんでいるし、ようやく慣れてきたような気もする。でも、今日の山口拳矢選手のけん制には驚いた。一瞬、自分の進むルートが無くなったかと思ったけれど、そこからもう一度全力で踏み直して勝利を目指した。それが最後の1着につながったと思う。」
競輪特有の激しい位置取りと駆け引き。注目されているが故に難しい対応が求められる中、最後は自身のスピードで勝利を得た。
「途中で別れてしまった。でも、また出会えた」
そのラブレイセンの後ろを務めたのがトゥルーマン。“True Love=真実の愛”というライン名に絡め、レース後には「途中で僕たちは別れてしまったね。でも、道中で再会できた」と、トゥルーマンらしいユーモアたっぷりのコメントが飛び出した。
実は前日の2日目にも選手は異なれど、よく似た展開があった。そのレースではトゥルーマンがラインの前を務めていたが、勝負どころでラインが崩れ、後ろにいた諸橋愛(新潟)が内側へ。一方のトゥルーマンは外側から勝負を続け、1着を得た。そして決勝では立場が逆転し、ラブレイセンの後ろを走るトゥルーマンが遅れてしまってラインは崩壊。それでも前の隙を見つけて位置を上げていった。
「前日と同じような展開だ、ということが頭をよぎったわけではなかったです。でも、こういうこともあると身体がわかっていたのかもしれない。自然に身体が動きました。そしてラブレイセンとラインでワンツーフィニッシュを飾れたことは、素直に嬉しい」。

2日目の終了後にメディア対応をするTrue Love
7年ぶりに帰ってきた日本の競輪
このS級決勝が、今シリーズにおけるトゥルーマンの最終戦。2着という結果でレースを終えたトゥルーマンは、満足そうな表情で競輪場を後にした。トゥルーマンが短期登録選手として日本の競輪を走るのは、2019年以来、実に7年ぶり。久しぶりに体感した日本競輪について最後に尋ねると、その変化をこう語った。
「やっぱり日本の競輪は面白い。でも、7年前とはレベルが全然違う。日本の選手たちがものすごくスピードをつけていることが感じられる。ナショナルチームのコーチたちが養成所でさまざまなトレーニングを行っていて、それによって競輪選手全体のスピードが底上げされていることを感じた。だからこそレースは難しくなる。でも、だからこそ日本の競輪は面白いんだよね。また来年も来られたら嬉しい」
世界のトップスプリンターたちから見ても、明らかに変化している日本の競輪。7年ぶりに帰ってきたトゥルーマンの言葉は、その進化を象徴するものでもあった。
最終戦はラブレイセンとの“True Love”でワンツーフィニッシュ。トゥルーマンにとって2026年の日本での戦いは幕を閉じた。

