8月12日から14日まで、日本競輪選手養成所で開催された「トラックサイクリングキャンプ2026」。

100人を超える応募者の中から選ばれた62人が参加し、ピストバイクに初めて乗る未経験者から、インターハイ出場経験を持つ競技経験者まで、それぞれのレベルに合わせた3日間を過ごした。第1弾の記事では、バンクでのトレーニングや講義など、キャンプで行われたさまざまなプログラムを紹介した。

初心者も経験者も自転車の楽しさを知る3日間 豪華ゲストの姿も/『トラックサイクリングキャンプ in 日本競輪選手養成所』

今回の記事ではキャンプの参加者たちそれぞれの言葉から、3日間のトラックサイクリングキャンプを振り返っていく。

「バンクを走ってみたかった」にもさまざまな目的が

初めてピストバイクに乗った人。さらなるレベルアップを目指して参加した人。そして将来、競輪選手になることを目標にしている人。「バンクを走りたい」と言ってもその目的はさまざまだった。練習を通してそれぞれが感じたことを伺った。

澤田茉奈さん(UCI 2025 BMXレーシングワールドチャレンジ ガールズ15歳 優勝)

Q:BMXで世界的に活躍されていますが、なぜ今回トラックサイクリングキャンプに参加しようと思ったのでしょうか?

日本だと岸和田や名古屋など、競輪場とBMXのコースが隣接している場所があって、そこで高校生や競輪選手の方たちが練習しているのをよく見ていました。それで、自分もやってみたいなという興味がありました。

Q:将来的にBMXとトラックのどちらをやりたいかは決まっていますか?

BMXは本当に小さい頃からやってきたので、もっと上のレベルで将来的にも活躍できるようになりたいです。自分がメインでやっていきたいのはBMXです。でも、ほかの競技に触れておくことも大事だと思っています。同じ自転車競技なのでBMXにつながる部分も多いかなと思っています。

Q:今日は初めてバンクを走ったそうですね。BMXとの違いも含めて、どんな感覚でしたか?

外から見ている時よりも、バンクの角度がめちゃくちゃ急でした。今まで走ったことがないような角度のところを自転車で走りましたし、スピードもBMXとは違いました。BMXもかなりスピードは出るんですけど、あれだけ長い距離を速いスピードで走り続けることはあまりありません。初めてあんなスピードでずっと走ったので、すごく楽しかったです。

Q:最初は怖さもありましたか?

めっちゃ怖かったです。でもだんだん楽しくなってきて、最後は楽しみながらずっと走っていました。

Q:この2日間で、難しいと感じた部分はありましたか?

1番大変だったのはブレーキがないことです。BMXでもブレーキを頻繁に使うわけではないんですけど、角度や速度を調整したい時にはブレーキを使います。でもトラックの自転車は脚でスピードを調節するので、それが結構難しかったです。ペダルも空回りしないので、いつもの癖で脚を止めようとしてしまうこともありました。

Q:今回の経験でBMXに活かせそうだと感じた部分はありますか?

スタンディングスタートです。自分はBMXでスタートがあまり得意ではなくて、今はずっとスタートを練習しています。トラックのスタートの出方とBMXのスタートの出方が、少し似ているなと思いました。ギアの重さなどは全然違いますが、体の出し方や使い方には似ている部分があって、それは今回の発見でした。すごく勉強になりましたし、良い経験になったと思います。

柴田依南さん(弱虫ペダルサイクリングチーム所属、JOCジュニアオリンピックカップBMXレーシング 女子11-12歳クラス 優勝)

Q:今回、トラックサイクリングキャンプに参加した理由を教えてください。

競輪選手になることが夢で、BMXとは違う競技も体験してみたいと思いました。夢に向かって進むためにも、今のうちに1度経験しておきたいと思って参加しました。

Q:競輪選手になりたいと思ったのはいつ頃からですか?

中学1年生の頃からです。高校3年生までBMXを続けて、養成所を受験できる年齢になったら受けたいと思って、それに向けてずっとやってきました。

Q:実際に今日バンクを走ってみてどうでしたか?

最初は怖かったです。普段経験している傾斜より角度が急だったので怖かったんですけど、慣れてきたら楽しかったです。

Q:BMXとはスピードもパワーも違うと思います。苦労した部分はありましたか?

特に大きく苦労したことはなくて、漕いだ分だけ進んでいくので、BMXとはまた違う感覚で、すごく楽しかったです。

Q:養成所を受験するのはいつ頃を考えていますか?

再来年です。今は15歳の高校1年生なので、受験できるタイミングに向けてしっかり準備していきたいです。

Q:実際に2日間過ごしてみて、養成所の環境はどう感じましたか?

本当にすごくいいと思いました。練習にしっかり取り組めそうな環境です。養成所に入ったら携帯電話を自由に使えないと聞いていますが、それも含めて、とことん打ち込める環境に身を置きたいと思っています。

山田珠美さん(元陸上競技部、日本競輪選手養成所 志望)

トラックサイクリングキャンプ2026, JIK

Q:今回、トラックサイクリングキャンプに参加した理由を教えてください。

養成所の受験を考えていて、トレーニング環境を見てみたいと思って参加しました。

Q:もともとは陸上競技をされていたそうですね。

大学で陸上競技をやっていました。今はアマチュアの練習生として自転車の練習をしています。

Q:指導してもらっている競輪選手もいるのでしょうか?

岐阜所属の選手に見てもらっています。

Q:競輪選手を目指そうと思ったきっかけは?

両親から「競輪が向いているんじゃないか」と言われたことがきっかけです。それで自分でも調べてみて、いいなと思って目指すようになりました。

Q:実際に今回いろいろなバンクを走ってみて、どう感じましたか?

普段は400mバンクで走っているんですけど、250mだったり333mだったり、バンクによって走り方がそれぞれ違うんだなと思いました。

Q:難しかったところはありますか?

コーナーで膨らんでしまうところです。そこは難しいなと思いました。

Q:今年、養成所を受験する予定ですか?

はい。今年受験します。技能試験で受ける予定です。

Q:現在苦労している部分や課題はありますか?

全体的に苦労していますが、もう少し体重を増やしていきたいと思っています。スピードを出すためにも必要だと考えています。トップスピードが出ないことは、体重が軽いことも要因として大きいと思っています。これから体重も増やしながら、スピードを上げていきたいです。

熊谷苺香さん(ラグビー・相撲経験者)

トラックサイクリングキャンプ2026, JIK

Q:どうして今回参加をしようと思ったのでしょうか?

元々自転車が得意で、東京都のトップアスリートの企画参加しました。3次審査まで進んだのですが、そこで一番速かったのにも関わらず落ちました。3カ月後に担当の方から電話があって、競輪はどうかと連絡あったんです。今教えてもらっている東京都の競技連盟の理事長からこのイベントを教えてもらって、今回参加した形になります。

Q:3日間参加してみてどうでしたか?

最初は友達もいないし嫌々来た感じでしたし、トラックは5回ほどしか走ったことがないので、場違いなんじゃないか?そう思っていました。でも来てみたら皆が優しくて、たくさんのことを教えてもらえてとっても楽しかったです。

Q:何が一番面白かったですか?

333mで練習したハロン(200mの助走をつけたタイムトライアル)が楽しかったです。

Q:初めてでしたよね?タイムは?怖くなかったですか?

はい。初めてです。タイムは13秒台でした。恐怖感は無く、気持ちよかったです。

Q:ブレーキが無い自転車に魅力を感じましたか?

はい!

Q:来てよかったですか?

友達もできましたし、来て良かったです!楽しかったです。

3日間を、それぞれの「次」へ

参加した理由も、現在のレベルも、これから目指す場所もそれぞれ異なる。今回の参加者たちがこの先どのような道へ進んでいくのかは、まだ誰にもわからない。この3日間をきっかけに自転車に乗り続ける人がいるかもしれない。競技として本格的に取り組む人、そしていつの日か競輪選手として日本競輪選手養成所へ戻ってくる人が現れるかもしれない。

それぞれが感じた「楽しい」「もっと速くなりたい」「もっと乗ってみたい」という気持ち。そのひとつひとつが、次の一歩につながっていく。