『2025世界選手権トラック』の舞台はチリ・サンティアゴ。現地10月23日、大会2日目には男子ケイリンが実施された。日本勢の活躍を中心にレポートをお届けする。
総勢36人がエントリーしたこの種目は、1回戦→(敗者復活戦)→準々決勝→準決勝→決勝までを1日で行うスケジュール。
ディフェンディングチャンピオンの山﨑賢人、アジア王者の中野慎詞、全日本チャンプの太田海也、これが世界選手権デビューとなる中石湊という日本勢のほか、前日のチームスプリントで金メダルを獲得したハリー・ラブレイセン(オランダ)、同種目で銀メダルを獲得したマシュー・リチャードソン(イギリス)が集い、世界最高峰の戦いが繰り広げられた。
1回戦 太田海也が快勝 中野・山﨑・中石は敗者復活戦へ
山﨑は最後尾から攻める際に他の選手の動きで外に振られて前に出れずに6着、中野は大逃げを追う形で3着、中石は世界選デビューのせいか動きがなく5着と敗者復活戦回りとなる。
一方で世界最強のスプリンターと称されるハリー・ラブレイセン(オランダ)と同組となった太田。
最終周回でラブレイセンが仕掛けてくるが、そのタイミングで前に出させず、見事に1着となって準々決勝進出を決めた。
敗者復活戦 敗者復活戦 中野が復活、山﨑&中石は……
敗者復活戦は1着のみが復活するサバイバルレース。中野は最終周回で最後尾から一気に全員を追い抜いて1着。力の差を見せて、準々決勝へ復活した。
後がない山﨑は山﨑→ニック・ワメス(カナダ)→ルカ・スピーゲル(ドイツ)→マルティン・ツェフマン(チェコ)の順番で周回を先頭で重ねていく。
残り2周の時点で最後尾となった山﨑が仕掛けていったのは最後の周回に入る手前。
3番手で外から仕掛けていく。前にはワメスとチェフマン。
しかし2番手のチェフマンが外にふくらみ、更に外から仕掛けなければならない形となり、勝負は最終ストレートへ。
最後は山﨑、チェフマン、ワメスが横並びになるが、車輪1つほどの差でチェフマンが1着。山﨑は3着となり、ディフェンディングチャンピオンの新たな挑戦の幕が閉じた。
初出場となった中石は世界最強のスプリンター、ラブレイセンのいる組での出走。
残り2周から中石が仕掛けて先頭に出ると、2番手にはラブレイセン。
最終周回で逃げ続ける中石だったが、最後はラブレイセンにかわされて3着。中石の“初”の世界選手権ケイリンが終わった。
準々決勝 再び快勝の太田 中野はまさかの降格
準々決勝。中野と太田は別組となって出走。
各組6人の出走で上位4人が準決勝へと進む。中野は1組。レースは残り3周。中野が最後尾から加速して前に出ようとすると、先頭にいたジェフリー・ホーフラント(オランダ)が中野を前に出さずに並走していく。
一旦仕掛け直しを図った中野は後ろに下がると、他の選手に囲まれてしまう状態となる。
外側からケビン・キンテロ(コロンビア)、ニキータ・キリルツェフ(AIN)、前にはホーフラント、内側にはセバスチャン・ビジエ(フランス)となって動きが取れない状態。
残り1周手前の4コーナーでは、中野がバンクの内側、外側と動きながら、何とか前へと進む道を探す形となった。
最終周回では4番手で加速していく中野。そのまま順位を変えずにフィニッシュし、準決勝進出ギリギリとなる4着を得た。
しかしレース後に、他の選手がいる時にスプリンターレーン(黒線と赤線の間)に侵入し、対象選手の進路を妨害したとして降格。結果は6着扱いとなり、中野は準決勝前に姿を消す形となった。
太田はラブレイセン、リチャードソンなど強豪が集まる組での出走。残り2周で4番手の位置から一気に仕掛けた太田は、一度前に出ると誰も寄せ付けずに1着で逃げ切り。
2着にニコラス・ポール(トリニダード・トバゴ)、3着はハリー・ラブレイセン、4着にトム・デラシェ(フランス)。優勝候補の一角として注目されていたリチャードソンは6着で敗退となった。
