『文部科学大臣杯 第80回全日本大学対抗選手権自転車競技大会(トラック)』が千葉市にて開催された。8月29日から31日の3日間にかけて行われた熱戦の男子種目をレポートする。
大会の花形 大盛り上がりのチームパシュート
初日(29日)の予選を経て、決勝には鹿屋体育大学(4分9秒167)と中央大学(4分9秒891)が勝ち進む。予選のタイム差はほとんどないため、どちらが勝つのか、会場中が固唾を呑んで見守る中、レースがスタート。
序盤は僅かにリードをしてレースを進めていく鹿屋。しかし中盤になり1人が離脱すると、その後に隊列が崩壊してしまう。一方で淡々とペースを刻みながら鹿屋を追い上げていく中央大学。溢れんばかりの歓声を背に、見事な隊列をキープしたまま鹿屋に追いつきレースは終了。中央大学が2年連続となる学生トップの座を得る結果となった。

1位:中央大

2位:鹿屋体育大

3位:早稲田大

4位:京都産業大
大学名 | 選手名 | タイム | |
1位 | 中央大学 | 三浦一真 釜田佳典 山下虎ノ亮 三宅太生 |
追抜勝ち |
2位 | 鹿屋体育大学 | 梅澤幹太 並江優作 金井健翔 廣田汰也 |
|
3位 | 早稲田大学 | 児玉誠虎 大仲凜功 小林典宗 山里一心 |
4:13.027 |
優勝:中央大学/山下虎ノ亮
Q:チームパシュートでの優勝、おめでとうございます。
予選では2位での勝ち上がりでしたが、学連記録の更新を狙って決勝に臨みました。追抜勝ちとなり記録は出なかったですが、これまでの練習が実ったと思います。このチームは4年生が2人いるので来年はメンバーが大きく変わりますが、来年は学連記録(4分4秒673/2023年・日本大学)を更新する4分2秒は出して欲しいです。練習でも良いタイムを出せているので、きっと狙えると思います。
Q:特に決勝は、会場の応援もすごかったです。
去年もですが、すごく良い応援で力をもらえました。中央大は、応援で勝とうという気持ちがあります(笑)。
Q:チームパシュートは、インカレの花形といえるのでしょうか?
間違いないです。すごく盛り上がります。
Q:翌週にはロードレースも控えています。
総合は(トップの日本大学と)少し離れてしまいましたが、ロードでなにがあるかわからない。中央大学にはスプリンターもたくさんいますし、チームでしっかりと攻めた走りをして、ゴールスプリントで発射させられればと思っています。
スプリント 競技に魅せられた松岡が初V
スプリントは予選5位スタートとなった松岡勇斗(日本大)と予選2位の吉田大吾(法政大)との決勝。1本目を松岡が制し、勝負の2本目。吉田が前、松岡が後ろとなって進むレースは最終周回前の4コーナーで松岡がインを突いて一気に加速していく。先頭に出るとどんどんと加速していき、吉田を振り切っての先着。見事にストレートで優勝を決めた。

後ろから松岡(ピンク)がインを突いた瞬間
選手名 | 大学名 | |
1位 | 松岡勇斗 | 日本大学 |
2位 | 吉田大悟 | 法政大学 |
3位 | 村上明 | 日本大学 |
優勝:松岡勇斗
Q:予選から振り返ってみていかがですか?
予選は扁桃炎で思ったようなタイムを出せませんでしたが、焦らずに、体調を戻すことを考えていました。決勝も万全ではなく、完成度としては100パーセントではないですが、合格点は出せる走りだったと思います。
Q:決勝は2本とも僅差の争いとなりました。
3回戦にもつれこんでもおかしくないくらい強力な相手でしたが、オフから日本でいちばん頑張ってきたという自負がありました。それが優勝という形につながったと思います。憧れの存在である井出(晃太郎/中央学院大学)選手と直接勝負することはできなかったですが、順位としては超えることができて嬉しいですし、努力が報われたなと思います。
Q:日本大学はトラック総合で優勝。総合5連覇も見えてきたのではないかと思います。
ここ数年、トラックでは危ない状況が続いていて、ロードの選手たちからも檄が飛んでいました(笑)。そのおかげもあって、突き放して渡すことができたので良かったです。
Q:今後に向けては、どのように考えていますか?
インカレ優勝というのは通過点です。200mFTTで9秒台を出すこと、そして全日本選手権で表彰台入りが目標です。競技の美しさ、楽しさに取り憑かれている部分があるので、競輪選手になっても競技を続けたいと思っています。ナショナルチームに呼んでもらえるような選手になれるように頑張ります。
1kmタイムトライアル 日本大のワンツー
山下翔太朗(日本大)が同校の町田颯をコンマ1秒ほど上回る1分3秒167のタイムで優勝。日本大学によるワンツーフィニッシュとなった。
選手名 | 大学名 | タイム | |
1位 | 山下翔太郎 | 日本大学 | 1:03.167 |
2位 | 町田颯 | 日本大学 | 1:03.336 |
3位 | 田村一暉 | 京都産業大学 | 1:03.399 |
ケイリン 田村一暉が初V
男子ケイリンは去年4着だった田村一暉(京都産業大)が去年2位の町田(日本大)を捲って先着。自身初となるインカレタイトルを獲得した。2位には去年同様に町田が入った。
選手名 | 大学名 | |
1位 | 田村一暉 | 京都産業大学 |
2位 | 町田颯 | 日本大学 |
3位 | 中島康征 | 法政大学 |