2025年3月20日、公益財団法人JKA主催イベント「ワットバイク測定体験会」が、北海道帯広市にあるよつ葉アリーナ十勝にて行われた。
北海道内の高校スピードスケート部所属選手を対象として実施されたこのイベントは、自転車競技と親和性のあるスケート競技に焦点を当て、スピードスケート部におけるワットバイクの活用推進を目的として開催された。
ワットバイク測定体験会
参加者は男女合わせて53人。
測定会では、6秒間による「ピークパワー」「ピークパワー体重値」「ピークパワーケイデンス」、30秒間による「平均パワー」「平均パワー体重あたり」の測定を行った。
佐藤水菜、梅川風子のトークショー
そして本イベントでは、佐藤水菜と梅川風子によるトークショーも実施。
「競輪選手を目指したきっかけ」のテーマをメインにトークが展開されるなか、元スピードスケート選手の梅川風子は、ワットバイクでのトレーニングが競輪の道に進む一因となったというエピソードを紹介。
「ワットバイクトレーニングの数値が良かったんです。でも、スケートではその数値ほどのパワーを感じることができなかった。自転車の練習は昔から好きだったこともあり、思い切ってガールズケイリンの選手を目指すことにしました」と語った。

梅川風子と、梅川がスピードスケート選手として活躍していた大学時代の恩師・和田貴志氏
トークの終盤ではワットバイクトレーニングをする際のポイントを両選手が細かく解説。ハンドル距離の重要性や、サドル角度のミリ単位での調整など、佐藤水菜が実演しながら紹介する場面もあった。
ぴったりで、走れ。ワットバイクゲーム
昼食を挟んで、午後の部。
日本競輪選手養成所スタッフからの養成所の説明会などが行われた後、参加者を全6チーム(男子:4チーム 女子:2チーム)に振り分けて「ぴったりで、走れ。ワットバイクゲーム」なるレクリエーションがスタート。
30分という制限時間のなか、走行距離が規定の数値(男子 20km / 女子 18km)に近いチームが優勝、というこのゲーム。
もちろん走行距離はゲームが終わるまで見ることができないので、チームごとに戦略を立てながら「ぴったり」を目指していく。
最大のポイントは“お邪魔助っ人”ルール。
各チームにはそれぞれお邪魔助っ人が用意されており、好きなタイミングで、好きなチームにその助っ人を送り込むことができる。
ゲーム後半、各チームに送り出されたお邪魔助っ人が一気に戦略を狂わせる中、注目の的となったのは梅川風子。
お邪魔助っ人としてとあるチームに乱入すると、レースさながらのもがきを見せる。
「まだいける!いけるいける!」と声をかける佐藤水菜の声に応えるように、超高速でペダルを回し続けた梅川。お邪魔助っ人の任務を見事完遂し、息を切らしながら倒れ込む。
一体何キロ進めたのかわからない渾身の走りを梅川が見せた一方、ほとんど漕がないというお邪魔助っ人の策略にハマり、目標距離から大きく遅れをとることとなったチームも。
梅川さながらに必死にペダルを回し、なんとか遅れを取り戻そうと奮闘する参加者たち。
終了後には、倒れ込む参加者が続出するほどの熱戦が展開。
大盛り上がりの中、ワットバイク測定体験会は幕を閉じた。
氷上以外のトレーニングが始まるこの時期だからこそ
春が間近に迫り、スピードスケートリンクが少しずつ使えなくなる時期に実施された本イベント。
終了後に参加者に話を聞くと「氷上以外でのトレーニングが増えていくこの時期に、自分の実力を知ることができたのですごく良いなと思いました。今後のトレーニングに役立てていきます」という声が上がっていた。
普段からワットバイクでのトレーニングを積んでいるという高校の選手も、「実際にワットバイクに乗りながら、選手に直接アドバイスやコツを聞くことができたのがとても良かったです。ハンドルのセッティングの位置など、今日教わったセッティングを取り入れてトレーニングに励みます」と話す、有意義なイベントとなった。
公益財団法人JKA伊豆事業所 小田課長補佐コメント
「参加者のみなさんが普段行っている練習とは違う方法を取り入れることで、色々な気づきの点があったのかなと思います。
ワットバイクによるトレーニングは、スピードスケートの技術や体力の向上に役立つ重要なトレーニングだと考えています。今日得た知識や経験を今後の練習に役立てていただき、これからの皆さんの活躍の一助になってくれたら嬉しいですね」