2021年から始まったり、4シーズン目となった『UCIトラックチャンピオンズリーグ』。パリでの開幕そして第2戦と第3戦をオランダのアペルドールンで経て、第4戦と最終戦はイギリスへと舞台を移した。

レースは12月6日と7日の2日「ダブルヘッダー」で実施され、およそ6000人の観客の前で、トラックサイクリングの面白さが披露される予定だったが、大会の結末は「中止」となってしまった。現状分かっていることをレポートする。

女子ケイリンで起きた落車 ケイティー・マーシャン(イギリス)が病院へ搬送

第4戦は大盛り上がりを見せて終了し、最終戦で各カテゴリーの優勝者が決まる予定だったチャンピオンズリーグ。しかしレースは落車でストップし、大会は現状中止となっている。

落車が起きたのは最終戦の中盤、女子スプリント→男子スプリント→女子スクラッチ→男子スクラッチ→女子エリミネーション→女子ケイリンと消化していった中でのレース。女子中長距離のケイティー・アーチボルドが総合優勝を確定させ、会場が大盛り上がりを見せていた中での女子ケイリン1回戦だった。

レースは残り1周、先頭にクリスティーナ・クロナン(オーストラリア)、2番手にヘッティ・ファンデバウ(オランダ)、並走してアレッサ・プロップスター(ドイツ)、そして更に外からはケイティー・マーシャン(イギリス)の3者が並んでいた。

1コーナーを抜けていく際にプロップスターが横に動くと、外側にいたマーシャンにぶつかる形で両者がコントロールを失いフェンスに向かっていく。そして勢いそのままに両者がフェンスを飛び越えて場外へと落車。開催者からの情報によると、近くにいた観客4人を含む計6人のクラッシュが発生してしまった。

落車後にレースは中断、大会スタッフが治療を実施し、ケイティー・マーシャンは病院へ搬送された。大会側は落車を受けて大会を中断し、以下の声明を出している。

公式アナウンスメント

UCIチャンピオンズリーグ公式アナウンスメント

ロンドンのリー・バレー・ベロパークで行われたUCIトラック・チャンピオンズリーグの女子ケイリンレース中に事故が発生し、2人のライダーと4人の観客が治療を受けました。イベントの医療従事者がすぐに対応し、選手が1人が病院に搬送されています。

WBD Sports、British Cycling、Lee Valley VeloPark、Union Cycliste Internationaleは、全会一致で、この夜の残りすべてのレースを中断することを決定しました。選手と影響を受けたすべての観客について、迅速な回復を願っています。また、医療スタッフの皆様の迅速な対応と支援に感謝申し上げます。

私たちは、適切な措置を講じる前に、すべての関係者と緊密に協力して事故の要因を分析しています。現時点では、これ以上のコメントは差し控えます。

改修したばかりのベロドロームのフェンス

2022年に外柵を飛び越えてしまう落車が発生し、今大会では走路の上にアクリル板を設置。安全面を考慮したレースとなることを、筆者はUCI関係者に事前に伺っていた。しかし残念ながら、そのアクリル板を超える形で落車が起こってしまった。

レース後、男子選手へと話を聞いたところ、このベロドロームは傾斜が甘く、コーナーで外に働く力が強くなってしまうという。ベロドロームの公式情報によると「最大42度」で、伊豆ベロドロームの最大傾斜は「45度」。確かに傾斜が甘いことがわかる。こういったバンクの形状も、要因の一つと言えるのかもしれない。

マーシャンの現状

8日にメディア向けに入った公式情報によると、病院での検査の結果、尺骨(上腕の骨)と橈骨骨折(手首の骨)および手指2本の脱臼が確認されたものの、命に別状はないとのこと。

更なる情報待ち

大会の最終結果については、情報が入り次第記事の更新を行う。