『2024世界選手権トラック』。快進撃を見せている日本チームが新たなメダルを獲得した。
日本にとってこの種目で35年ぶりのメダルを得たのは太田海也。激戦の末に自身初の世界選手権個人種目のメダル、銅メダルを手に入れた。
10月16日よりデンマーク・バレラップにて開幕した『2024世界選手権トラック』。
大会最終日の20日に実施された男子スプリント準決勝・決勝の模様をお届けする。
男子スプリント 準決勝
前日の結果を受け、準決勝に進んだのは太田海也、ハリー・ラブレイセン(オランダ)、ジェフリー・ホーフラント(オランダ)、ニコラス・ポール(トリニダード・トバゴ)の4人。
太田海也は、準決勝で世界最強のスプリンター、世界選手権での獲得金メダル通算15個を誇るハリー・ラブレイセンと激突することとなった。
1本目。ラブレイセンが前、太田が後ろとなってレースがスタート。
緊迫感を持ちながら両者が睨み合い、徐々にスピードを上げていく。レースが本格的に動いたのは残り1周半を切ってからとなった。太田が後ろから加速していくとラブレイセンも同じように踏み出す。
残り1周で一旦横並びとなった両者だが、太田がバンクの上部に昇り更に加速してラブレイセンを捕らえにいく。
傾斜を使って加速してくる太田をだったが、並びかける際にラブレイセンが僅かに車体を外に振ると、太田をけん制し、再び太田との距離を自転車1つ分確保して最後の200mラインへ。そこからはラブレイセンが全開で踏み込んでいくと太田届かず。1本目はラブレイセンが得る形となった。
2本目。太田が前なって進むレース。ラブレイセンは2~3車身ほどの差で太田を追っていく。残り1周半となる前でラブレイセンが少し踏み上げるとレースが一気に活性化していく。ハイスピードで両者が出方をうかがいながら上下に動き、迎えた最終周回。
太田が傾斜を使って加速していくと、同じラインでラブレイセンが太田を追っていく。
4コーナーを抜け逃げていく太田だったが、ラブレイセンに追い込まれて2着。
準決勝を勝ち上がることはできずに3位決定戦へと回る結果となった。
太田海也 自身初の個人種目メダル獲得へ
3位決定戦。個人種目での太田海也の初のメダル獲得に向けて乗り越えなければならない相手は、2023UCI世界選手権ではこの種目で銀メダルを獲得している強豪ニコラス・ポール(トリニダード・トバゴ)。
準決勝ではジェフリー・ホーフラント(オランダ)との3本目にまでもつれる戦いの末に敗れ、太田との勝負に臨む。
レースはポールが前、太田が外でレースが歩くほどのスピードでゆっくりとスタートする。
半周ほど睨み合いが続き、ポールが前へと進み出すと残り2周。
まだまだ勝負はこれからといったところで、太田が後ろから突如としてダッシュをすると、ポールをかわして先頭へ。
完全に立ち遅れたポールが太田を追いかけるが、太田が大差で逃げ切り一本目を得て、メダルへあと1勝となった。
2本目。今度は前でレースを進める太田。1本目とは異なり、太田が少しずつではあるがスピードを上げながらレースを進めていく。
展開に動きが出たのは残り2周を切った2コーナー付近。太田が先手を取り、前でスピードを上げていくと、2車身ほどの差を保ちながらポールが追っていく。しっかりと内側を注意しながら太田が傾斜を使って残り1周でスプリント体制に入っていく。
後ろで追うポールはワンテンポ遅れて踏み込んでいくような形になり、太田が前で先行していく。
4コーナーでも太田がリードし並びかけるのを諦めたのはポール。
太田が先着し、ストレートでポールに勝利する結果となった。3位決定戦は太田が勝利し、自身初、そして日本勢として1989年のプロ・スプリントで神山雄一郎(銀)と松井英幸(銅)が獲得したメダルより35年ぶりとなる快挙を果たした。
男子スプリント 決勝
オランダ勢同士の戦いは、ハリー・ラブレイセンがホーフラントをストレートで寄せ付けず、自身通算16個目の金メダルを獲得。今大会チームスプリント、1kmタイムトライアルに続いて3冠目となる金メダルを獲得した。
選手名 | チーム | 予選タイム | ||
1位 | ハリー・ラブレイセン | LAVREYSEN Harrie | オランダ | 9.306 |
2位 | ジェフリー・ホーフラント | HOOGLAND Jeffrey | オランダ | 9.505 |
3位 | 太田海也 | 日本 | 9.585 |