これまで「国体」として親しまれてきた国民体育大会は、2024年から「国スポ(国民スポーツ大会)」に名前を変える。
2030年の国スポが行われる島根県。この大会における自転車競技(トラック)の実施場所に関連し、島根県内の自転車競技場がなくなってしまう?という危機が起こっている。ことの次第をお伝えする。
新築されるはずだった出雲自転車競技場
島根県には競輪場がなく、自転車競技をするアマチュアサイクリスト、学生等が練習できる競技場は「大田競技場」のみ。しかしこの施設は1982年の島根国体の際に建築されたもので、老朽化が進んでいた。
2030年に島根で国スポが行われるため、これに合わせて出雲市に自転車競技場が新築される予定となっていた。
新設が中止に
しかし2024年5月下旬、建築費の高騰を理由に「自転車競技場新設見直し」の新聞報道が出された。
この時点では「いろいろな選択肢の中で話を進め始めたところで、何か決まった話ではない」と県担当者コメントが出ていたが、数日後の知事記者会見では「国スポで求められる基準が高く、大会後にそれだけの基準で使う機会がどれだけあるかという点もネック」といったコメントも出されていた。
出雲市 島根県立自転車競技場(仮称)の新設見直しについて
島根県 6月4日質問項目2
しかし、古い競技場はすでに……!?
しかし新設されるはずだった出雲自転車競技場(仮称)が作られない場合、すでにある大田自転車競技場は築40年が経過している古い施設。設備や走路の損傷が激しく、大会の開催等は難しいものとなっている。その上新設計画が決まったため、現在の自転車競技場の敷地の一部をすでに大田市に返還してしまっており、競技場の敷地が大幅に縮小されてしまっている状態だ。
つまり新設が本当に行われなかった場合「県内に自転車競技場がなくなる」、ひいては「島根県の自転車競技の大きな危機」が訪れることになってしまう。
県競技連盟「新設再検討を求める会」
これを受け、島根県の自転車競技連盟は「(仮称)出雲自転車競技場新設再検討を求める会」を設立。「コストを削減・場所を替えるなど、新設計画を模索してほしい」「新設を断念するとしても、大田自転車競技場の改修などを行い県内の自転車競技場を確保してほしい」と主張。県内外から署名を集めた。
署名は9月1日までに1万筆以上が集められ、9月2日、県自転車競技連盟会長の國谷成彦氏より、丸山達也島根県知事に提出された。
着工予定は2025年
もともと2025年着工予定だった新設計画。国スポ後の自転車競技場存続のためにも、今後の動きを注視していきたい。
島根県自転車競技連盟では今後も要望を続けていく予定。メールで署名を送ることもできるため、賛同する方はぜひ連盟のサイトをチェックしてほしい。