2024ネーションズカップ第2戦香港大会。初日の男子チームパシュート銀メダルに続き、男子オムニアムでも兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)が銅メダルを獲得する活躍を見せた。兒島にとっては悔しさの残るレースとなったが、オリンピックポイント対象大会のハイレベルの中で戦い抜き、そしてメダルを獲得したレースの模様をお伝えする。

男子オムニアム

2024ネーションズカップ第2戦香港大会。3月16日に行われた大会2日目には男子オムニアムが実施された。この種目にエントリーしたのは35人。予選を経て23人が本選へと勝ち上がる。日本からは橋本英也(ナショナルチーム)と兒島直樹(チームブリヂストンサイクリング)が出場。2人とも予選を突破し本選へ駒を進めた。

【オムニアム】トラック競技のルール解説・動画

第1種目 スクラッチ

第1種目のスクラッチ。男子は10km、40周で競われる。

レースは3人の選手が1周追い抜きを成功させたため、橋本と兒島はメイン集団に残される形で、最後のスプリントで4位までの順位を競う展開となった。

最後のスプリントで前に出たのは兒島。強豪のアーロン・ゲイト(ニュージーランド)とスプリント勝負をして2着。先に3人の選手が1周追い抜きしていたため、この種目での成績を5位とした。橋本は9位。

スクラッチ結果PDF

少しずつ調子と順位を上げていく兒島

第2種目:テンポレース

第2種目テンポレース。全36周回の毎周回、1着の選手だけが1ポイントを獲得できる種目。ポイント得数を競う。

兒島が中盤にゲイトとアタックすると1周追い抜きを成功させて+20ポイントを加算。レース終了時に合計23ポイントとして、この種目を3位で終えた。橋本は1ポイントを獲得、この種目は16位。

テンポレース結果PDF

兒島、橋本が活躍を見せる

第3種目:エリミネーション

第3種目はエリミネーション。2周に1人、最後尾の選手が除外されていく。

この種目が得意な橋本は集団前方をキープしながらレースを運ぶ。一方の兒島は何度も危ない危機を乗り越え、粘り強く残っていく。

残り5人。橋本、兒島、ユリ・レイタオ(ポルトガル)、ジュールス・ヘスタース(ベルギー)、オスカー・ニルソン ジュリアン(フランス)となった集団で最初に除外されたのは橋本。ガス欠のようにも見える形で遅れてしまった。

そして次にニルソン、ヘスタースと除外され、レイタオとの1対1まで兒島が生き残る。

最終周回でレイタオの加速についていけなかったが、この種目を兒島は2位で終えた。

エリミネーション結果PDF

ゲイトの大逆転 兒島が初のメダル獲得

第4種目:ポイントレース

最終種目はポイントレース。トラック100周25kmの戦い。最初の3種目で獲得したポイントに、この種目で得られるポイントを加算していく。最終的に合計ポイントが最も多い選手がオムニアムの勝者となる。

ここまで暫定トップはニルソンで114ポイント、次いで兒島(106ポイント)、レイタオ(102ポイント)の順。橋本は暫定10位からのスタートとなった。

大きな動きは残り70周を切ってから始まる。単独でアタックしたアーロン・ゲイト(ニュージーランド:73ポイント)が1周追い抜きを成功させ+20ポイント。

そして残り40周を前に他の選手と4人の逃げ集団を形成していた橋本。その橋本の逃げ集団に兒島、ニルソン、レイタオ、など上位争いの選手たちが加わると、残り30周を切ったところでメイン集団の1周追い抜きに成功。それぞれが+20ポイントを獲得。

この中にはアーロン・ゲイトも含まれ、1周追い抜きの成功数は2回に。ゲイトがレース終盤になってトップ争いに絡んでくる展開となった(この時点でニルソンが141ポイント、兒島が暫定2位の128ポイント、ゲイトとレイタオが暫定3位タイで123ポイント)。

そして直後にオムニアムの優勝を決定付ける動きとなったアタックが起こる。

ゲイト、ヘスタース、そして橋本の3人が集団から抜け出すと、兒島とニルソンはこの動きに反応せずにメイン集団に残ってしまう。ゲイトは6人の逃げ集団を形成してメイン集団に差を付けていくと、残り10周のポイント周回直前に3回目の1周追い抜きに成功。合計を144ポイントまで伸ばして暫定トップへと躍り出る大逆転を果たした。

一方、兒島は残り10周のポイント周回で1着5ポイントを得たが、暫定順位を1つ落とす結果となる。

残るは最後のポイント周回のみとなったが、トップ争いの選手たちを含まない逃げ集団ができてしまい、最後のポイント周回では順位は動かず。アーロン・ゲイトが3回のメイン集団追い抜きを含む合計71ポイントを最終種目で加算し、大逆転の優勝を遂げた。

2位は1ポイント差でオスカー・ニルソン。3位はトップから11ポイント差となった兒島直樹。橋本は見せ場を何度も作り、最終周回にも1着で10ポイントを加算するなど、レース開始時の10位から8位へとジャンプアップを果たした。

兒島はネーションズカップ オムニアムでは自身初となる銅メダルを獲得。しかしレース後の表情には悔しさが滲み出ていた。

順位 選手名 所属 ポイント
1位 アーロン・ゲイト GATE Aaron Murray NZL 144
2位 オスカー・ニルソン ジュリアン NILSSON JULIEN Oscar FRA 143
3位 兒島直樹 BGT 133

橋本英也は8位。

最終結果PDF

兒島直樹インタビュー

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