パリ2024オリンピック出場に向けた大事なシーズンの開幕戦『2024UCIトラックネーションズカップ第1戦』がオーストラリア・アデレードで開催される。本大会の日程は2月2日~4日の3日間。パリへの枠取りは、このUCIネーションズカップ(全3戦)とアジア選手権で全てが決まる。
現地に入った取材班は、少しだがベロドロームに違和感を得た。うーん、なんかいつもと違う……。
バンクの違和感
選手たちの会話からは「バンクが遅い。平らに感じる」などの話がチラホラと上がっている。
大事な一戦を前に今回のベロドロームがどのようなバンクで、どういった結果や記録が期待できるのか。この記事ではベロドロームについてジェイソン・ニブレット短距離ヘッドコーチの考察を加えて紹介する。
大会会場名:Adelaide Super Drome
まずは今回の会場を数字の上で伊豆と比較:
伊豆 | アデレード | |
最大傾斜 | 45度 | 43度 |
幅員 | 7.5m | 7m |
なるほど、伊豆に比べると狭いし、角度がなめらかになっている。
傾斜角が滑らかならば、伊豆に比べるとスピードが出ない。そして幅が狭いということは上から降りていく距離も短くなる。数字的に「バンクが遅い」ことは、上記を比較すれば十分に理解できる。
では、この数字の違いが何をもたらすのか。
オーストラリア出身のジェイソン・ニブレット短距離ヘッドコーチにインタビューを行った。
ジェイソン・ニブレット短距離ヘッドコーチ
そうですね。この会場は暑い時には速いバンクなのですが、今は十分に暑くない(27度位)こともあり、タイムは出ないと思います。ただ、土日は30度を超えることが予想されています。
そして幅員が狭いこともあり、短距離の200mフライングタイムトライアルでは基本的には良いタイムが出ない会場です。幅が狭いので、トラック上部から下へ駆けていってスピードを得る角度も距離も甘くなります。平ら、と言う人もいます。
この状況下でもし良いタイムが出たら、それは選手の走りが本当に良かったということになります。結果がコンディションを反映するとでも言いましょうか。記録を狙うというよりは「出場選手内でのタイム差」が重要になります。
一方でスプリンターレーン(走路の内側、黒と赤のラインの間のこと)を走っていればコーナーが緩いし、走りやすい。チームスプリントやチームパシュートを走るには良いトラックです。
ただし気温が上がらないと速いトラックにはならないので、レースの最中にどのような気温になるのか。その点がタイムの良し悪しに関わってきます。
ジェイソンコーチからの話を聞くに、開幕戦でのタイムを今後の参考にするには難しい大会となるかもしれない。
大会は2月2日から開催される。公式の大会スケジュールはこちらから確認ができる。