2023年12月2日、宮崎県宮崎市、ひなた木の花ドームにて「宮崎CYCLEフェスタ」が実施された。
このイベントにナショナルチームからブノワ・ベトゥテクニカルディレクター(以下TDと表記)とファブリース・ヴェットレッティS&C(Strength & Conditioning)コーチが招へいされ、講義とワットバイクでの能力テストが行われた。
ブノワ・ベトゥの金言
この日のために集まったのは、宮崎県内の小学生~高校生まで、およそ60人。更にブノワTDの話を聞きに県内のコーチ、自転車関係者などを合わせてとおよそ70人が参加するイベントとなった。
午前のヒンヤリとした空気の中で講義が始まると、自身の説明を少しした上で、早々と質問コーナーに移るブノワTD。レベルが異なる様々な人に同じことを説明するよりも、折角の機会なので、自由に何でも聞いてもらいたいという考えの基に講義が進んでいく。結果として、質問が止まらないほどに出てきてしまう結末に……。
印象的だったのは「練習が辛い時に、続けていく気持ちになるにはどうすれば良いか」という質問に対するブノワTDの答えだった。
「まずはゴール、目標をしっかりと見据えるべきです。何故そのトレーニングをするのか、目標を見失わないようにすることが大切です。
トレーニング中に選手たちから”疲れた”、”キツい”といった話はよく聞きます。でもトレーニングの目的は身体を疲れさせることでもあります。だから疲れるといった状態に慣れる必要があるのです。あとは、トレーニングの内容、やり方などをコーチと話して、あなた自身がトレーニングの目的、内容を理解することも重要です。
そして練習は楽しくあるべきです。いつも辛いと思っているのであれば、他のスポーツに移った方が幸せになれると思います。
この中でオリンピックに出場したり、トップレベルの選手を目指す人がいるようなら『そのスポーツを大好きになり、楽しまなければ到達できない』ということをお伝えします。そもそもスポーツは友達、チームメート、コーチと一緒に経験を共にするアクティビティです。キツいということが前面に出てきていまうのであれば、自転車競技を続けることを考えないといけないですね。
明確なゴールが設定されていて、このスポーツを好きで楽しめているということ、その2つが不可欠なのだと思いますよ」
シンプルにして明確な答えは、自転車競技やスポーツだけでなく、ビジネスの世界でも必須の話だと筆者は感じた。
他にもギア設定などの詳細なことから、栄養について、ジムについてなど様々な質問が飛び交い、講義は予定を30分オーバーする形で終えた。
力を出しきらせるコーチ陣
休憩を挟んで実施されたのはファブリース・ヴェットレッティS&Cコーチによるワットバイクテスト。
ウォーミングアップをしてから6秒間のもがきを2回、15秒間を1回、最後はシッティングで30秒をもがいて数値を計測していく(※途中休憩あり)。最初はナショナルチームのコーチたちに囲まれて緊張の様子を見せる参加者たちだったが、追い込まれていくにつれ、徐々に目に真剣味が帯びていく。
最後の30秒が終わるとグロッキーになる参加者も出るなど、しっかり自分を追い込んだ参加者たちの結果を示した紙がファブリース氏に渡され、イベントは終了した。