UCIは「パリ2024オリンピック」で実施される自転車トラック競技にて、各国チームが使用する「機材」の登録申請プログラムを開始した。
各国はオリンピックで使用する機材をUCIに申請し、申請が承認されることで初めてその機材の使用が可能となる。
本記事ではこの登録申請プログラムの内容と、「新型バイクはいつ見られる?」という疑問に答えていく。
全参加国が公平に競い合うため
パリ2024オリンピックにて自転車トラック競技を実施するにあたり、使用機材の厳しい検査手続きが行われる。
そもそもこの手続きを実施する目的は「全参加国が公平に競い合うため」。
選手の能力に加え、機材が結果に大きく影響を及ぼす自転車のレース競技。トラック競技は、特に機材が重要視される競技の1つだろう。
そしてオリンピック用機材の申請登録プログラムには、「各国は使用する機材を、登録リストから選択できる」という特徴がある。
各国が登録申請を行った機材は、申請国だけが使用するものではなく、他の国にも使用する権利がある。経済的・技術的に開発能力に差があっても、機材を自由に選択できることでレースをより公平なものにできる。
市販品でなければならない
加えて重要な点は「全ての機材は市販品でなければならない」ということ*。
先述したように「全ての国がどの機材を使用するかを選択できる」ようにするには、それらが入手可能である必要がある。全ての使用機材を「市販品」に限定することで、より公平性を担保できるのだ。
※一部例外もあり(現在市販品として入手できなくても、東京2020オリンピックで使用が認められていた機材など)
「東京2020オリンピック」で承認済みの機材は対象外
では、登録が必要な機材について解説していこう。
前提として、全ての国が「機材登録申請」を行う必要はない。対象となるのは”新しい機材”を使用する場合だけだ。
「東京2020オリンピック」前にも同様の申請プログラムが実施されており、東京大会で使用が認められた機材については新たに申請を行う必要がない。あくまで未登録の”新機材”が対象となる。
「トラック競技の機材(Track Equipment)」には、具体的に以下のようなものが含まれている。
申請が必要な機材
・フレーム
・フォーク
・シートポスト
・前後ホイール
・ハンドルバー / ベースバー
・エクステンション(パシュート・TT種目で使用されるハンドルバーの延長パーツ)
・スキンスーツ、ベースレイヤー、グローブ、ソックス、シューズカバー
・ヘルメット(ヘルメットのアクセサリーも含む)
機材登録のプロセス
パリ2024オリンピックに向けた機材登録はオリンピックの前年、つまり今年(2023年)からスタートしている。ここではそのプロセスを、5つのステップに分けて解説しよう。
「ステップ1」オンラインで申請フォームを送信
まずは未登録の新機材の内容を、各国の自転車競技連盟がUCIのオンラインフォームにて申請を行う。
「ステップ2」対象大会で実際に使用・UCIが検査
申請された機材はオリンピック前の特定の大会で実際に使用される。その大会内で、UCI職員がテスト・検査を行なっていく。
「テスト・検査」が実施される大会
対象大会 | 実施日程 | 開催地 |
2023ネーションズカップ第1戦 | 2月23日〜26日 | インドネシア・ジャカルタ |
2023ネーションズカップ第2戦 | 3月14日〜17日 | エジプト・カイロ |
2023ネーションズカップ第3戦 | 4月20日〜23日 | カナダ・ミルトン |
2023世界選手権トラック | 8月3日〜9日 | グラスゴー・イギリス |
対象大会でテスト・検査が行われ、登録が認められた機材は「暫定リスト」として随時公開されていく。
「ステップ3」最終決定盤リストを公開
「ステップ2」でテスト・検査が実施され、さらにいくつかの条件をクリアした機材が「UCI Final Equipment List」として2024年3月29日に公開される。このリストに掲載されたものが、パリ大会で使用可能な機材だ。
「ステップ4」最終リストから使用機材を選択
申請が承認された機材は、申請国だけでなく、全出場国が使用する権利を持っている。
各出場国は最終決定盤リストから使用する機材を選択し、2024年7月1日までにUCIに申請しなければならない。
「ステップ5」パリ2024オリンピック本番で最終チェック
未登録の機材を使っていないか、申請した機材以外を使っていないかなどを、オリンピック開催前〜開催期間中にかけてUCI職員がチェックを行う。
これを経て、選手たちはオリンピックで走り出すことができる。