UCIトラックチャンピオンズリーグ第2戦。中野慎詞がケイリンで降格となったが、第1戦に続いて積極的なレースを展開した。男子短距離はハリー・ラブレイセン(オランダ)とマシュー・リチャードソン(オーストラリア)の2強によるシーソーゲームが行われている。
およそ1か月の間に全5戦が行われ、総合結果で争われるUCIトラックチャンピオンズリーグ。第2戦が11月19日にドイツ・ベルリンで実施された。
第1戦を経て、男子短距離はハリー・ラブレイセン(オランダ)がトップの37ポイント、続いてスプリントでラブレイセンを破ったマシュー・リチャードソン(オーストラリア・35ポイント)、シュテファン・ボティシャー(ドイツ・30ポイント)がトップ3、日本の中野慎詞は8位・11ポイントで第2戦へと臨む。
中野慎詞は王者ラブレイセンと対戦/スプリント
男子スプリントから始まった第2戦。チャンピオンズリーグでは、決勝までは3人1組となり、1着のみが準決勝へと進む独特のルール(通常は1対1の先着争い)。
中野は1回戦6組に入ると、王者ハリー・ラブレイセン(オランダ)、そしてトム・デラシェ(フランス)とのレースとなった。
レースはラブレイセン、デラシェ、中野の並びでスタートするが、1周を通過する際に中野が加速して先頭へ。並びは中野、ラブレイセン、デラシェとなる。中野が先行して加速していくが、後ろにはピッタリとラブレイセンが位置する。残り1周を前にラブレイセンが加速すると、中野に並びかけて最終周回の1コーナー、2コーナーと並走していく。
並んで進む両者だったが、残り半周でラブレイセンが先頭を得ると、そのまま後続の2人を突き放してフィニッシュ。準決勝へと駒を進めたのは絶対王者のラブレイセンとなった。中野は最後まで踏み込み続けて2着でフィニッシュ。3着はデラシェ。
実力の証明 リチャードソン
1回戦、準決勝と勝ち上がったのはハリー・ラブレイセンとマシュー・リチャードソン(オーストラリア)。第1戦でも決勝を争った二人が再び決勝で相まみえることとなった(第1戦はリチャードソンが勝利)。
レースはラブレイセンが前、リチャードソンが後ろとなって進む。
上下左右に動く両者だが、位置関係を変えずに最終周回へ入ると、バンクを少し駆け上がったラブレイセンの一瞬の隙を突き、リチャードソンが内側から一気に前に出る。そこからは全力でのスプリント勝負となるが、ラブレイセンは届かず。
第1戦に続き、第2戦も王者ラブレイセンを倒して、この種目のトップに輝いたのはリチャードソンとなった。
That was the rematch from last week in Mallorca! 😍@HarrieLavreysen 🇳🇱 had a chance to prove that he was still the best in the world but Matthew Richardson 🇦🇺 had something else in mind! 😯#UCITCL #Trackcycling pic.twitter.com/G8qsUI3EUD
— UCI Track Champions League (@UCITCL) November 19, 2022
決勝進出!…は次回に持ち越し 中野慎詞が降格
2着までが決勝進出となる男子ケイリンの1回戦。
中野は第1組で開催国のシュテファン・ボティシャー(ドイツ)、スプリント種目では国際大会で表彰台が常連のマテウス・ルディク(ポーランド)などと同組となった。4番手の位置で周回を重ねていく中野は、残り2周半となったところで積極的に仕掛けていく。
外から加速していき位置を上げていくと、2番手だったボティシャーが中野に飛びつく。残り1周を前に中野、ボティシャーの順でレースが進んでいく。
最終周回。先行する中野に対し、残り半周で外から仕掛けるのはボティシャー。最終コーナーでは中野を捕らえて先頭へ。一方内側で粘る中野だが、ボティシャーの外からはルディクも迫ってくる。
フィニッシュラインを1番に駆け抜けたのはボティシャー。そして中野がルディクとの僅差のフィニッシュを制して2番目、ルディクが3番目となった。
しかしレース後に審議が行われ、中野の降格が決定。正式決定として1着にボティシャー、2着にルディク、そして中野は降格で6着となり、決勝進出は成らなかった。
現地からの声を聞くと、中野が先頭に出る際に、当時先頭にいた選手の進路を妨害したことが原因とのことだが、公式発表としては中野の降格だけが情報として出ているため、理由は定かではない。
中野にとっては積極的なレースをしただけに後味の悪い結果となったが、次回のレースに期待が掛かる内容となった。
王者の意地を見せたラブレイセン
決勝は暫定総合トップを争うハリー・ラブレイセン、マシュー・リチャードソンの2人に加え、ボティシャー、ルディク、ケビン・キンテロ(コロンビア)、エソー・エソー(インド)の6人。
リチャードソンが2番目、ラブレイセン4番目、ボティシャー5番目となって進むレースは残り2周を切るところでラブレイセンが動き出す。一気に先頭に出ると、ラブレイセンの後ろにはリチャードソン、そして先頭のラブレイセンに並走する形でボティシャーとなる。
最終周回。先頭はラブレイセンとボティシャーで、後ろでは前が壁になって動けないリチャードソン。先頭争いは最終コーナーまで続き、ラブレイセンが頭一つ抜け出して単独でフィニッシュラインへ。後ろでは少し間が空いたところをリチャードソンが加速して2着。僅差でボティシャーが3着となった。
なお、レース後の大会公式インタビューでリチャードソンにスプリントで、今シリーズを勝てていないことを問われたラブレイセンは「次はリベンジする」と意気込みを見せた。
Matthew Richardson might have gotten the best of @HarrieLavreysen in the sprint, but the @UCI_Track world champion is still the best in the keirin! 💪#UCITCL #TrackCycling pic.twitter.com/sAxsEQL7u6
— UCI Track Champions League (@UCITCL) November 19, 2022
第2戦を終えて、ラブレイセンはケイリンで勝利したことにより、総合トップの座をキープ(74ポイント)。しかし2位には2ポイント差でリチャードソンとなり、2人の戦いに次回も注目が集まっている。暫定3位はトップから16ポイント差の58ポイントでボティシャー。中野は降格が影響し、第1戦では8位だったが15位まで順位を落としている。