2022年10月14日。パリ郊外サン=カンタン=アン=イブリーヌで開催中の『2022世界選手権トラック』の3日目には1kmタイムトライアルが実施された。

この種目には東京オリンピックチームスプリントの金メダリストであり前回大会の覇者、ジェフリー・ホーフラント(オランダ)、日本チャンピオンの小原佑太など25人が出場した。

1kmタイムトライアルとは

たかがトラック4周と侮れはしない地獄の種目。およそ1分の間に全てを出し切り、終わったあとには……「人によってはパイプ椅子で殴られているかのよう」、別の人は「全力で足の小指を机にぶつけに行くかのよう」と表現するトラック独特のMッ気たっぷりな種目だ。

終わった後の悶絶っぷりは、第三者には理解できない痛みが存在することを認識させてくれる。

※新田祐大選手の姿をご参考にして下さい※

予選:小原佑太が日本人初の1分切り 日本新

トップ8までが決勝に進む予選。レース前から「1分切りが目標」と語っていた小原。小原のレース前にはディフェンディグチャンピオンのホーフラントが58秒294を記録しており、暫定トップとなる。

小原はレースがスタートすると、序盤から全力で踏み込み、ホーフラントに次ぐ暫定2位のタイムで250m、500m、750mと駆けていく。

日本記録更新、そして1分切りが視野に入ってくるが、ここからフラフラとし始めて、目に見える形で失速していく。

しかしながら、フィニッシュラインを駆け抜けたタイムは59秒796。見事に目標としていた1分切りを果たし、2013年の中川誠一郎がメキシコの高地で出した1分00秒017から9年ぶりに日本記録を更新した。

小原は全体の5位で決勝に進出を果たした。

予選結果PDF

2度目の1分切りならず小原は6位 優勝は貫録のホーフラント

8人の頂上決戦となったレース。小原は4人目のスタートとなる。既に予選8位、決勝は1人目にスタートしたアレハンドロ・マルティネス(スペイン)が59秒871で暫定トップとなって迎えたスタート。

小原は暫定トップタイムを250m、500mと更新しながら走っていくが750m通過で大きく失速、更にフィニッシュに向かってスピードを落とし、フィニッシュタイムは1分0秒175。暫定2位として残りの4人の結果を待つことに。

しかしながら続いた2人が小原のタイムを上回り、2人を残して小原はメダル圏外となった。

最終走者は予選トップのホーフラント。

周囲の期待を背にスタートすると暫定タイムを1周毎に塗り替えていき、58秒106でフィニッシュ。出場選手中唯一の58秒台でフィニッシュし貫録の連覇を遂げた。

ホーフラントは、自転車から降りた後は鉄人ぶりをアピールするスーパーマンポーズでこの種目を締めくくった。

決勝結果PDF

ジェフリー・ホーフラント(オランダ), メルビン・ランデルニュー(フランス),アレハンドロ・マルティネス チョロ(スペイン)

小原佑太選手インタビュー

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