長所を活かせるスプリント
Q:最近の練習で1番力を入れているのはどの種目なんでしょう?
選ぶのは難しいですね。チームスプリントはもちろん頑張りたいし、チームスプリントでオリンピック出場枠を取れたほうが気持ちがすごく楽というのは、東京2020オリンピックへの経験で理解しています。「仲間で頑張る」というのもこれまで無かったことだし、全力で走れるメンバーだと思いますから、できる限り上位を目指したいと思っています。
一方でケイリンもスプリントも、差をつけずに頑張りたいと思っています。正直脚質的に向いてるのはスプリントかなと思うのですが(笑)、ケイリンも欠かせないです。
Q:そうなると、一番好きなのはスプリントでしょうか?
好きっていうとどうだろう……私の長所を活かせる、得意なのはスプリントだと思います。ケイリンだって長所を活かして走ることはできるんですけどね。
Q:改めて、太田選手の長所とは?
加速力、ダッシュ力は女子選手の中ではかなりあるほうだと思います。思う、というか、数値としてもその辺りは出ていることですね。
Q:ネーションズカップはその3種目に出場ということですね。……男子は1kmTTにも出場しますけど、女子って500mTTに全然出場しませんよね。
500mTTに出るという考えすらない感じですね。全員スタートがそんなに得意じゃないですし、体力も使う種目です。また男子は人数がいるから、1kmTTの選手とチームスプリントの選手を変えることができると思うのですが、女子は全部やらなきゃいけなくなります……その辺もあるかと思います。
久しぶりの国際大会
Q:世界選手権、チャンピオンズリーグが2021年末にあり、4ヶ月ほど空いての国際大会です。久々感はありますか?
久々だなという感じはしていますね。楽しみではありますけど、ソワソワしたりドキドキしてる感じではないです。「冷静にその時を待っている」みたいな心境です。
Q:世界選手権では佐藤水菜選手がケイリンで銀メダルを獲得しました。刺激を受けたとか、悔しい!私も!みたいになったのか……どうでしたか?
悔しい!私も!というよりは「ああ、私たちにだってできるんだ」という感情が大きかったと思います。でも、世界選手権ではケイリンに出場していなかったのでそれもありますね。自分が出場していたけどメダルを獲れなくて、それで水菜が獲ったとなると、ものすごく悔しいとでしょうけど(笑)
私たちに良い意味で刺激を与えてくれた、可能性を見せてくれたと思います。
「帰りたい!」とまでなったチャンピオンズリーグ
Q:チャンピオンズリーグの思い出を聞かせてください。
スタッフもいない、コーチもいない、通訳もいない。何もかも自分たちでやらなきゃいけないような環境で協力しあって、考えて行動したのは良かったなと思います。私はデビューしてからずっとナショナルチームにいて、至れり尽くせりで育ってきた選手です。だからこそとても成長出来たと感じました。
チャンピオンズリーグの時期は新型コロナが落ち着いていて、選手同士でちょっとした交流もありました。
でもレースと、そういう交流の場面は楽しかったんですけど、あとは本当に大変でした!レースに出るためのオーガナイザーとのやりとりも全部英語だし、空港からのバスをどうするかとかも英語で手配して、飛行機も自分たちで取って……今までで一番大変だったし、「日本に帰りたい」とあんなに強く思ったのも初めてでした(笑)
Q:「帰りたい」とまで思っちゃったんですね(笑)
いや〜キツくて(笑)練習環境も整っていなかったので「このままここで練習してたら、私弱くなっちゃうんじゃないかな」という不安もありました。大変でした。
Q:世界の選手と交流していく中で、練習環境などに日本との違いを感じることはありましたか?
練習状況や環境の差は、あまりないと思いました。私たちはスペインのマヨルカを拠点にしていたのですが、マヨルカに残っていた選手がそこまで多くなかったので、限られたチームしか見れていないんですが……カナダチームと一緒にトレーニングを行うことが多かったんです。やってる内容や方法、雰囲気などは日本チームと大きな違いがないと感じました。
Q:では「これは勝ってるな」と感じる部分ってありましたか?
私たちは……真面目ですね!どの国の人にも絶対に負けないと思います。
時間は守るし、人を待たせることなんて絶対にない。逆に私たちが待つことはめちゃめちゃありました(笑)
それは良い部分でもあり、悪い部分でもあると思うんですよね。日本の選手たちは普段からお酒を飲まないとか、すごく真面目に気にしています。でもそういう場面でわかることもあると思うので……