勝者の力の使い所
山中湖から2回目の旭日丘交差点で籠坂峠に入る、ちょうど残り25km地点のところでマクナルティが抜け出し、それにリチャル・カラパス(エクアドル)がつく。2人を見送ることとなった11人は、一度お互いに様子を伺う状態となり、上り区間で16秒の差がついた。
単独で追走をかけようと数名の選手が飛び出し、捕まり、また別の選手が飛び出し、というのが繰り返され、追走のペースがなかなか上がらない。
籠坂峠の下り、ラスト17km地点で差は40秒に広がった。
富士スピードウェイに入る手前の小さな上り、誰も引きたがらない追走集団の中で、ヴァンアールトが1人で追走を仕掛けると、一気にタイム差は15秒まで縮まる。残り6.8kmで追走が先頭2人の姿を捉えるまで近づいたが、スピードウェイに入ったすぐの上りでカラパスが再度アタック。マクナルティを振り切り、単騎となった。
カラパスが独走
追走集団からはウッズ(カナダ)、ダヴィド・ゴデュ(フランス)が飛び出すがそれも集団に追いつかれ、追走は逆にカラパスとの差を広げることとなった。ラスト3kmでカラパスと追走との差は33秒。
フィニッシュへと向かうストレートでカラパスは後ろを振り返り勝利を確信。ハンドルを大きく叩き、喜びを露わにした。カラパスは、大きく手を広げてフィニッシュラインへと飛び込んだ。
追走集団はカラパスを捉えることができず、そのまま集団スプリント。2着にヴァンアールト、3着にポガチャルが入った。
カラパスは、直前のツールでは総合3位とポガチャルに敵わなかったが、ここでしっかりと借りを返した形だ。レース後に2人は笑顔でしっかりと握手を交わした。また、今回のカラパスの優勝により、エクアドルはオリンピックでの金メダルが史上2つ目となる。
日本人選手は、新城幸也が先頭から10分12秒遅れの35位、増田成幸が19分50秒遅れの84位と2人とも完走を果たしている。128人の出走者中完走は85人。ここまでハイレベルな戦いで完走できたというだけで十分な結果と言えるはずだ。
東京オリンピック 男子ロードレース リザルト
金メダル | リチャル・カラパス | エクアドル | 6時間5分26秒 |
銀メダル | ワウト・ヴァンアールト | ベルギー | +1分7秒 |
銅メダル | タデイ・ポガチャル | スロベニア | +1分7秒 |
4位 | バウケ・モレマ | オランダ | +1分7秒 |
5位 | マイケル・ウッズ | カナダ | +1分7秒 |
6位 | ブランド・マクナルティ | アメリカ | +1分7秒 |
7位 | ダヴィド・ゴデュ | フランス | +1分7秒 |
8位 | リゴベルト・ウラン | コロンビア | +1分7秒 |
9位 | アダム・イェーツ | イギリス | +1分7秒 |
10位 | マキシミリアン・シャッハマン | ドイツ | +1分21秒 |
35位 | 新城幸也 | 日本 | +10分12秒 |
84位 | 増田成幸 | 日本 | +19分50秒 |
Text : 滝沢佳奈子(サイクルスポーツ)
7月25日(日)は女子ロードレースが開催。日本からは與那嶺恵理・金子広美が出場する。沿道での観戦については控えるよう要請が出ているため、インターネットでの生配信などで応援していただきたい。