残れたのは強者のみ

フィニッシュまで残り67km地点、ローソン・クラドック(アメリカ)のアタックによってレースは本格的に動き始める。

逃げ続けるシュテファン・キュング(スイス、写真左)とローソン・クラドック(アメリカ写真右)

クラドックとシュテファン・キュング(スイス)が逃げ、それを追うメイン集団という構図となるが、最終的には残り23km地点でキュング(スイス)、マッズ・ペデルセン(デンマーク)、マチュー・ファンデルプール(オランダ)、ジャンニ・モスコン(イタリア)、マッテーオ・トレンティン(イタリア)の5人の逃げ集団となる。この5人はメイン集団とのタイム差を1分程度とし、最終周回へと入っていく。残りおよそ14kmにしてタイム差は1分。逃げ切れるかどうか、5人の先頭集団は優勝候補のファンデルプールを中心にローテーションでスピードを上げていく。

 

しかし、残り12km地点で大本命のファンデルプールが低体温症により5人の逃げ集団から遅れていってしまう。

更に残り6km地点のオークベックの上り(1.1km/平均5.8%)でモスコンが遅れ、先頭はペデルセン、キュング、トレンティンの3人にとなる。

この時点で先頭の3人とメイン集団とのタイム差はおよそ1分。優勝争いは先頭集団内での戦いとなった。

牽制をしながらフィニッシュまで残りおよそ200m。先頭の3人の中で最もスプリント力の高いトレンティンが最後の仕掛けを見せたが、なんとペデルセンがトレンティンを押さえて先着。自身にとって、そしてデンマークにとっても初となるロードレース世界選手権男子エリート優勝を、23歳の若手が勝ち取る結果となった。

ペデルセン 優勝インタビュー

Q.世界チャンピオンになりましたね

信じられないよ。こんな事が起こるなんて。本当に信じられない。

Q.本来の作戦はどのようなものでしたか?

本来であれば終盤に僕が先頭で逃げて、そこにチームメイトのバルグレン(マイケル)とフルサング(ヤコブ)が追いつく予定でしたが、彼らがファンデルプールとトレンティンの追走に付いていけなくて・・・・だから僕がとにかく耐えて、スプリントに備えました。

Q.本当によく耐えましたね。最後はトレンティンが勝つのではないかと誰もが思っていましたが、それについではどう思いますか?

そう言われていたみたいですね。でもフィニッシュラインが見えた時には脚の痛みも疲れも吹き飛んで、上手くスプリントが出来ました。6時間半も走っていると誰もが限界だし、何が起きてもおかしくないですよ。

Q.6時間半も、このコースで雨の中ノンストップで走るのはどうでしたか?

シーズン終盤のレースだし、集団の前方に位置しながら集中して走りました。

Q.世界王者になった気分はどうですか?

どの選手にとっても世界選手権優勝は夢だと思います。今の僕にとっては、信じられないです。

リザルト

順位 名前 チーム タイム
1位 マッズ・ペデルセン デンマーク 6時間27分28秒
2位 マッテーオ・トレンティン イタリア +0秒
3位 シュテファン・キュング スイス +2秒
4位 ジャンニ・モスコン イタリア +17秒
5位 ペテル・サガン スロバキア +43秒
6位 マイケル・ヴァルグレン デンマーク +45秒
7位 アレクサンダー・クリストフ ノルウェー +1分10秒
8位 グレッグ・バンアーベルマート ベルギー
9位 ゴルカ・イザギレ スペイン
10位 ルイ・コスタ ポルトガル
DNF 新城幸也 日本
DNF 中根英登 日本