イェーツに唯一匹敵する男、ロペス
最後に紹介するのは総合4位、サイモン・イェーツから43秒遅れのミゲルアンヘル・ロペス(コロンビア/アスタナ プロチーム)である。わずか24歳にして、今年のジロ・デ・イタリアで総合3位。昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでも2勝している。
そして、今大会においては、個の実力で言えば最もサイモン・イェーツに肉薄しうる実力の持ち主である。第14ステージではサイモン・イェーツが優勝する中、キンタナとバルベルデを突き放してステージ2位となった。第15ステージでも霧で視界の悪いコバドンガでライバルたちを突き放し、わずかではあるがタイムを稼ぐことに成功した。
その成功の裏には、この第15ステージのラスト20kmからひたすら集団を牽引し続けたチームメートたちの献身がある。彼らの走りがあったからこそ、集団は逃げを吸収することができ、ロペスはステージ2位のボーナスタイムを得ることができたのだ。
アスタナのチーム力の高さは以前から定評があり、2015年のブエルタでも、このチーム力によって最終盤にトム・デュムラン(オランダ/チーム サンウェブ)からマイヨ・ロホを奪い取ることに成功している。個の実力と、チームの力。その両方を併せ持ったロペスもまた、今大会総合優勝候補の一人だ。
多くの選手にまだチャンスがある
総合首位サイモン・イェーツから総合4位ロペスまでのタイム差は1分を切っており、最後の第3週でこの順番がどう入れ替わるかは予想がつかない。
実際に、第3週もまだまだ厳しいステージが残っている。そういった中で、最後にエースを助けるのは強力なアシストの存在だ。
上記に挙げたエースのみならず、文中に記載したアシストたちの走りにも注目することで、より深く、ブエルタ・ア・エスパーニャを楽しむことができるだろう。