高温多湿な環境下でのスタート

東京オリンピック開幕から5日目の7月27日。女子のマウンテンバイク(MTB)クロスカントリーが伊豆MTBコースにて行われた。

男子のレースが行われた前日の晴天ぶりとはうって変わって、朝からあいにくの雨模様。だが午前中に降り注った雨は、スタート前に止んだ。太陽は雲に覆われ、昨日よりも気温が下がり28度となったが、湿度が高く、蒸し暑い環境下でのスタートとなった。

昨日の男子のレースと同じ約4kmのコース。男子は7周だったが、女子は5周+スタートループ1.3kmでの勝負となった。前日のレースでマテュー・ファンデルプール(オランダ)が落車した「散り桜(Sakura Drop)」セクションでは、濡れた路面の安全状況を考慮し、女子レースではラダー(スロープのようなもの)が取り付けられることとなった。

男子同様、スタート位置は2021年7月6日時点でのUCIランキング順で決定された。現世界王者のポーリーン・フェラン=プレヴォ(フランス)や、注目のロアナ・ルコント(フランス)、ケイト・コートニー(アメリカ)、テストイベントでの優勝者ヨランダ・ネフ(スイス)らは1列目からのスタートとなった。

リオオリンピックでの優勝者、ジェニー・リスべッズ(スウェーデン)は2列目。日本の出場枠を射止めた今井美穂は最後尾の5列目から、29か国38人の選手がスタートした。

スタートリスト(PDF)

雨上がりの走路

まずはスタートループ。集団は連なった状態のまま、「天城越え」の上りに入る。やはり後方ではバイクを押す選手もおり、その中には今井の姿も。再びスタートゲートをくぐり、ルコントを先頭に1周目に入っていく。

1周目序盤、木陰になって乾ききっていないシングルトラック(1車ずつしか通れない細い道)を抜けると、先頭はネフとフェラン=プレヴォが先頭を争う形に。

「散り桜」セクションではフェラン=プレヴォの横からネフが同時に降りて、抜きにかかるようなアグレッシブなシーンも見られた。

ポリーヌ・フェラン=プレヴォ Pauline Ferraand Prevot (FRA)

その後の凹凸のあるダブルトラック(2本の轍)でネフが内側、フェラン=プレヴォが外側と同時に通過していく。しかし、その先の岩肌の斜面を駆け上がる区間でフェラン=プレヴォが前輪を滑らせ落車。その間にもネフは、スピードをキープしたまま先頭を突き進んでいく。

2周目に入った時点で、後続集団はイーヴィー・リッチャーズ(イギリス)、ルコント、シーナ・フライ(スイス)、リンダ・インデルガント(スイス)の4人。その少し後ろからフェラン=プレヴォとアンネ・テルプストラ(オランダ)の2人が追走をかける。

イーヴィー・リッチャーズ Evie Ritchaeds (GBR)

ロアナ・ルコント Loana Lecomte (FRA)

シーナ・フライ Sina Frei (SUI)

リンダ・インデルガンド Linda Indergand(SUI)

ネフ、30秒のリードで先頭を走る

ヨランダ・ネフ Jolanda Neff (SUI)

2周目の中盤で、すでに後続集団を30秒ほど突き放したネフ。後続は土の上り区間などで何度か順序が入れ替わり、再びフェラン=プレヴォが単独でネフを追う。フライとインデルガントのスイスの2選手がそれに続き、ルコントは少し遅れた。

しかしネフは、この2周目で1周14分16秒という最速ラップタイムを刻み、メンバーが入れ替わる2位以下に対して一気に1分ほどのタイム差を稼いだ。

3周目には、フライ、インデルガント、フェラン=プレヴォの3人の追走集団ができる。ネフとのタイム差は1分10秒ほど。

4周目に入る前には、フェラン=プレヴォがドロップし、第一追走集団がフライ、インデルガントのスイス勢だけに。スイスによる表彰台独占の展開も見えてきた。

スイスの独壇場

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