目標は、お金じゃない。
Q:ご家族は?
弟が2人います。2歳年下と4歳年下です。誰も自転車には乗ってないですね。私のファミリーはスポーツするような家じゃないんですよ。さっきも言いましたが、私が自転車を始めたのも、好奇心というか、生物のテストをサボる口実…おっと(笑)人生ってわからないものですね。
Q:2017年の世界選手権で、チェコ人初の1kmタイムトライアルのメダリストとなり、何か変化はありましたか?
もちろん。チェコで有名人になりました。ただ、スポンサーが付いたとかではなくて、パートナー企業が増えましたね。機材提供とか、何かを一緒にやろうとか。
私の目標は自転車トラック競技をチェコ国内で有名にすることなんです。
伊豆ベロドロームの様に素晴らしい競技場がチェコにないので、作りたいですね。そうするための最も近道は“勝ち続けること”。私が有名になり、みんながトラック競技のこと、チェコにも良い選手がいることを知ってくれれば、このような競技場が作れると思います。だから、話は逸れますが、お金が欲しいとかではなくて、自分に人生を与えてくれたトラック競技の普及と、下の世代のチェコの選手たちがきちんと練習できる環境を作ってあげること、これが私の目標です。
Q:日本で友達はできましたか?
渡邉一成選手です。新田祐大選手も知っていますが、仲が良いのは渡邉一成選手ですね。
チェコでオリンピックを目指すなら、軍隊へ入る。
Q:チェコの自転車競技選手達は、どのように練習環境を整えているのですか?
チェコで自転車競技を続けるには、軍隊へ入る必要があります。と言っても戦ったり、軍隊のトレーニングに参加する必要はありませんが。軍隊に入れば、軍のトレーニング施設を使用できる、と言った方が正しいですね。軍隊に優れたアスリートとして雇われるとでも言いましょうか。生活に困らないだけの給料、トレーニングに必要なモノの提供をしてくれます。ただ、限られた人たちだけですよ。だから自転車競技をやっていて大金持ちになれるようなことは絶対にありません。チェコでは、オリンピックへ出場するようなアスリート達は、軍からのサポートを受けています。ドイツにも警察と軍のチームがありますが、同じような考え方ですね。
Q:では選手を引退したら軍人になるという事でしょうか?保障みたいなものはありますか?
引退したら、引退後の道は自分で探さなければいけません。簡単ではないですよね。だから私は6年間大学へ通い、スポーツマネージメントとコーチングの博士号を取りました。
コーチやチームのマネージャーになる権利はあるといったところでしょうか。いつか選手として終わる日がきて、その時は100%、誰も自分のことを世話…面倒を見てくれなくなるのはわかっています。だから、いろいろ考えておかないといけないんですよ。