我慢が勝敗の分け目

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頂点は遠いのか

脇本は3年連続の3回目の出場にして初優勝を狙うも、2年連続の2着。グランプリの頂点は、かくも遠いのか。脇本が最も警戒していた新田もレースを振り返る。

「自分の前にいた郡司がタイミングを作っていたので“これは脇本が我慢出来ずに行くだろうな”と思っていました。そこでしっかり自分が体制を整えて勝負していれば異なる展開になったとは思います。

“行かせてしまった展開”になってしまって、その後も勝負していなかった自分が良くなかったです。自分がさせてはいけない展開にさせてしまいました。」

分かっていながらも、勝利を欲するが故に今回のような展開になってしまう。それは新田が数多く経験してきたことだ。その過ちを繰り返してはいけないことは新田が一番よく分かっている。

「気持ちだとは思います。勝ちたい気持ちと自分の力を信じきれていなかったことが仕掛けのタイミングをなるべく遅くしたいという気持ちにしてしまって、それが原因で脇本と同じタイミングで勝負できなかった、その結果が悪いレースになってしまいました。自分がちゃんと仕掛けていればと思います」

東京オリンピックを戦う選手たち、そしてコーチたちが語った今回の『KEIRINグランプリ2020』。この経験を糧に短距離ナショナルチームは更に強くなることだろう。まだ届かない競技の「KEIRIN」そして日本の「競輪」の頂き。

脇本がインタビューの最後、ぽつりと一言つぶやいた。

「あと一車身やなぁ・・・・・・・・・・」