ストレングストレーニングの役割
ストレングストレーニング(筋力トレーニング)はトラック選手にとって重要なトレーニング。ロード選手は冬のオフシーズンにしか行わないことが多いが、トラック選手は1年を通し、週3回程度ジムに通う。
ここまでストレングストレーニングを行う理由とは?
ひとつはストレングストレーニングを通して、スタンディングスタートから十分なトルク(「回転×力」を示す数値。トルクが大きいほど加速する)をかけ、時速70km、2000ワットものパワーを出せるようにするため。またその高い負荷によって生じる怪我を予防するためにも、ジムでのトレーニングは必要不可欠だからだ。
ジムでは下半身強化を中心としたスクワットやデッドリフト、ランジ、プライオメトリックドリル(ジャンプ動作)など、「短時間で爆発的なパワーを出すため」のトレーニングが行われる。イギリスのジェイソン・ケニーやドイツのロベルト・フォルストマンなどは、スクワットに加えてジャンプ動作などをトレーニングに取り入れているという。
ジャンプジャンプ💨🎵 pic.twitter.com/AytZLGpGOz
— 深谷知広 (@tmhrfky) May 6, 2020
スポーツサイエンティスト/サイクリングコーチのJosu Larrazabal氏は言う:
「大腿四頭筋はパワフルなペダルストロークに欠かせません。だからこそスクワットは重要なのですが、正しいフォームで行う必要があります。スクワットの際はバーを肩に置きますが、サイクリストは(バーを担いだ)動作やバランスを取ることには慣れていないので、フォームを修正しなければなりません。正しいフォームで行えば小さな筋肉にまで効果があります。自転車競技の特別なところはパワーを出す事に集中しながらも、他の筋肉を使ってフォームを修正する事も必要なスポーツだということです」
そしてスクワットは他の運動と比べてもテストステロンの分泌が多く、筋肉の生成に向いている運動でもある。
「シーズン前の準備期間には、自分の限界の50〜70%の重量で60〜90回と多めの回数でスクワットを行います。シーズン中になると回数を減らし、重量を限界にまで上げて1〜3回を4〜6セット行います」
直径74cmもの大腿を持つフォルストマンは、筋力とパワー、どちらを求めるのかによって、トレーニングプログラムが変化する事を説明する。
ちなみにフォルストマンがスクワットで上げる最大重量はなんと280kgだ(!)