『2020世界選手権トラック・ドイツ』、大会4日目の2月29日には女子マディソンが行われ、この種目が初開催となる東京オリンピック出場枠獲得を見事に日本チームが果たした。優勝は2019年大会同様のメンバーで挑み、圧倒的な勝利を得たオランダチーム(ウィルト/ピータース)が2年連続で世界チャンピオンとなった。
マディソンのルール
2人1組となってポイントレースを行う“マディソン”。チーム内で交代をしながらレースを進めていき、獲得ポイントの合計が最も高かったチームが勝ちとなる。レースは男子がトラック200周50km、女子がトラック120周30kmで争われる。
レース
出場は18チーム計36人。日本はオムニアムで史上初の優勝を果たした梶原悠未と誰がペアになるのか、というところだったが、梶原はレースでの落車の際の負傷で欠場。急遽古山稀絵と中村妃智のペアで出場することになった。優勝候補は去年の大会で力を見せたオランダ、イタリア、フランス、イギリス、ベルギーなど、どの国もワールドカップで力を示してきた強豪国。
レースはオランダ対その他の強豪国となり、オランダが計12回のスプリント周回の内、11回でポイントを稼ぐという荒業を披露する。
他のチームはスプリント周回の都度オランダに力の差を見せられるような形で、最後には圧倒的なポイント差が付いてしまう。長距離のレースだが、終盤にはほぼオランダの優勝が固くなり、残るはフランスとイタリアの2位争い。
14ポイントタイで並んだ両チームは最終周回の着順により勝敗を分ける。結果として最後のスプリント勝負を制したのはフランス。1着10ポイントを追加し、2着のイタリアを4ポイント上回り銀メダルを獲得した。
日本チームは速い展開に苦しみながらも耐え抜くレースで15位でフィニッシュ。大会前に11位だったオリンピックランキングを1つ落とし12位になる結果となったが、女子マディソンの出場枠圏内を維持することに成功。東京オリンピック出場枠獲得を果たした。
結果一覧:
優勝 | オランダ | 36ポイント |
2位 | フランス | 24ポイント |
3位 | イタリア | 20ポイント |
15位 | 日本 | -40ポイント |
中村妃智選手コメント
初めて世界選手権でのマディソンを走ったのですが、集団が多い中での交代が難しくて大きいミスをしてしまいました。そのミスで体力を使ってしまったので、交代の重要さも身に沁みましたし、集団の中でリカバリー出来るレベルが個人的には無かったので、オリンピックまでにベース、基礎能力を上げられるように頑張っていきたいと思います。
古山稀絵選手コメント
中村選手も言っていたように交代の重要性を学んだレースでした。少しのミスが大きなミスに繋がるのが実感できたので、基本的なところからの改善が必要だと思っています。
Q:オリンピックの枠は確保できたと思います。その辺りはホっとしましたか?
古山:全部そうなのですが、一人の力で得られる出場枠ではないと思っています。今回の結果は良くはなかったですが、枠が獲得出来たことは凄く良かったと思います。
中村:世界選手権に来るまでにフランスやイタリアなど2人だけで行く遠征もありましたし、自分たちが出ていない時でも鈴木(奈央)選手などが出場して皆で繋いできたポイント、絶対にここで途絶えさせてはいけないと思っていたので、枠の獲得を決めることが出来てホッとしています。
Q:オリンピックまでにどれくらいパワーアップすることを目標にしていますか?
中村:相方(梶原悠未選手のこと)は世界一です。その相方をポイント周回までに前へ連れていって戦える状態を作るというのが私たちの仕事なので、ロングスプリントが出来るように力をしっかり付けていきたいと思います。
古山:2人で行うマディソン、梶原選手だけの力で獲れる、勝てる種目ではないので、しっかりとサポートが出来るように力を付けていきたいと思います。