オリンピック出場枠を懸けた争いの初戦が幕を閉じた。日本は短距離チームのみの出場であったものの、脇本雄太の金メダル獲得で最高のスタートを切った・・・と思ったのだが、ブノワ・ベトゥ短距離ヘッドコーチへ初戦の感想を求めると、彼の希望を下回る結果であった様だ。一体どういうことなのか。
隠しようのない気持ち
「残念ですね。」
ブノワコーチの口から出た最初の言葉が、それだ。インタビューを小林優香が2回戦で敗退した女子ケイリンの後に行った事もあり、隠しようのない気持ちだったのだろう。
「ただ、希望もあります。小林が見せた走りは、勝てはしなかったものの、自分たちの進んでいる道が正しいことを証明してくれました。」
これまで世界チャンピオンを数多く輩出した名将は更に続ける。
「彼女が走れる、そして実力があることは判っています。トップになることも出来るポテンシャルはあります。まぁそれがいつになるかは判りませんが・・・・・。準決勝では間違いなく誰よりも速く走れる力を持っていたんです。」
小林のポテンシャルを毎日目の当たりにするからこその言葉、そして「残念」という気持ちなのだろう。選手と同じく、自らも世界と戦う姿勢を見せる名将の言葉には、小林の持つ「力」への確固たる自信が感じられた。
太田りゆについて語る時は、少しばかり表情が柔らぐ。
「太田はやっとレースをする段階に来ましたね。大きな進歩だと思いますよ。ただ結果がついてきていないので、嬉しいという気持ちはありません。これからも、戦う姿勢をもっと見せていって欲しいです。」
太田は自転車に乗ってからの経験も浅く、国際レースに至っては僅か2シーズン目。普通に考えれば恐るべき速さでの進化だが、やっと慣れてきた段階という所だろうか。