2024年5月30日、日本競輪選手養成所第127 ・128回生の第1回記録会が終了した。入所1ヶ月のタイミングで行われたこの記録会は、大雨の影響で順延を経て実施された。長丁場となった記録会だったが、男女合わせて3人がゴールデンキャップ獲得を達成した。

本記事ではナショナルチームメンバーの3人(酒井亜樹、丸山留依、三神遼矢)とゴールデンキャップ獲得者(酒井亜樹、丸山留依、市田龍生都)を対象にコメントをいただいた。

ゴールデンキャップとは?

養成所で行われるタイム測定会「記録会」では、最短は200mから最長は3000m(女子は2000m)までの4種目が実施される。この4種目の総合結果によって候補生のヘルメットキャップの色(帽色)が振り分けられるが、全種目で「特に秀でている」と評価された場合に授与されるのが「ゴールデンキャップ」だ。

ゴールデンキャップ獲得者は候補生のうちからメディアや競輪ファンに一目置かれることとなり、候補生が養成所生活の中で目指すもののひとつである。

市田龍生都

Q:ゴールデンキャップ獲得おめでとうございます。今の気持ちを一言で言うと?

非常に嬉しい……全体として満足しています。1000mで早期卒業のタイムもクリアすることができました。これから競走訓練と勉強も頑張って、2回目でもしっかりタイムを狙いたい。まだまだ頑張らないとなと思います。

Q:この結果の要因はどのような部分ですか?

毎日毎日真剣にやっていました。緊張もこれまでの経験上慣れていますし、そういう部分で他のみんなより余裕があったり、1回1回の集中力が高かったのかなと思います。

Q:最後の種目である3000mは、走った後かなりキツそうでしたね。

個人的には3000mが一番キツかったです。慣れない種目ですし、一番タイムが出るかどうか不安のある種目でした。始まって半分過ぎたくらいで「これはタイム出るぞ」と思えて、そこからは死に物狂い。「このタイムを維持しなきゃ」と精神的にも心肺とかの肉体的にもギリギリのところを攻めていったので、終わった後は大変でした。

Q:第2回の記録会までに、ここからさらに強化したいのはどのような部分ですか?

記録としては全体的に良かったですが、瞬発力がまだ足りていないように感じました。2回目の時には瞬発力をさらに強化して、タイムを塗り替えられるくらい強くなりたいと思います。

丸山留依

Q:今回の記録会の振り返りをお願いします。

200mはギリギリのタイム。400mと1000mが自分にとっての課題で、挑むような気持ちで走りました。ここで良いタイムが出せたので、最終日は得意な3000mを出すだけの状態。気持ち的に楽に走れて、ちゃんと良いタイムを出せて良かったです。

Q:次の記録会ではどのようなことが目標ですか?

次の記録会もゴールデンキャップが目標です。HPD教場にも声をかけていただいたので、そちらでもっとレベルアップできるよう頑張りたいです。

三神遼矢

Q:今回の記録会の振り返りをお願いします。

今回の記録会では、何ひとつ良いところがなかったと思います。

Q:ゴールデンキャップリーチ*までいったのに?
※2日目までに行われた3種目は、ゴールデンキャップの基準タイムをクリア。最終日の3000mのみゴールデンキャップのタイムをクリアできなかった。

それでも、どの種目も自分がイメージしていたものとはかけ離れたタイムでした。ゴールデンキャップのリーチがかかっていたから、最後の3000mは絶対獲ろうと思っていたけど、それも達成できなくて。記録会の期間中、毎日落ち込んでいました。理想が10だとして、5くらいの結果だったなと思います。

Q:その中でも一番良かったと思える種目はどれでしたか?

記録会2日目に実施された1000mです。400mで全然納得できないタイムを出してしまった後でしたが、気持ちを切り替えてやれたのは良かったなと思います。

Q:ここから第2回の記録会に向け、どのようなことを頑張っていく必要がありますか?

まずは養成所の生活にもっと慣れること。そしてこれまで自分はカーボンフレームにばかり乗ってきて、クロモリには試験の直前と養成所に来てからしか乗っていません。フレームに慣れて、自分の力をもっと伝えられるようになる必要があると思っています。

生活の時間やルールがひとつひとつ細かく決まっていることに、まだ慣れられてないです。練習も一気に変わったし、フレームも変わったし、生活も変わった。変化にまだ体が追いついていないと感じます。

でも、今が最低だと思います。これから上がっていくと信じて頑張ります。

酒井亜樹

Q:第1会記録会の振り返りをお願いします。

直前の練習ではタイムも出ておらず、今回はちょっと厳しいのかなと思っていました。でも逆にそれで肩の力が抜けて「力を出し切ろう」と思えたのかなと感じます。終わってみれば全種目1位で、ギリギリではありますがゴールデンキャップも獲得できました。

Q:一言でまとめてみると?

ホッとしました。その気持ちが一番大きいです。

Q:もともとスタートが得意な酒井さんなので、短い距離はもちろん期待していましたが、長い距離もいけるんだということが少し驚きでした。

全然「いけて」はないんです。今日初めて2000mを走るので過去の映像を見てペース配分を決めていたんですが、気が急いてしまって予定より速いペースで突っ込んでしまって。案の定後半ですごくタレでしまったんですが、最初に稼いだことでギリギリゴールデンキャップのタイムに届いたのかなと思うと、この走り方でも今回は良かったのかなと思っています。

Q:第2回記録会までに強化したいことは何ですか?

200も400も500も2000も、後半にタレてしまうことが自分の課題です。そして綺麗なペダリングで漕ぐことが重要だなと感じるので、持久力とペダリングの部分が当面の課題です。

【写真レポート】第1回記録会 日本競輪選手養成所 第127・128回生