グランツールで9回の個人総合優勝に輝く自転車競技界を代表する選手ながら、波乱に満ちた競技人生を送った選手、アルベルト・コンタドール(Alberto Contador Velasco)。彼が2017年のブエルタ・ア・エスパーニャで、3度目の引退を表明。過去の2度は引退を撤回してファンを喜ばせてくれたが、今回は決意が固いようだ。

10月21日のジャパンカップクリテリウムが初来日であり、それと同時に日本で見せる最後の雄姿となる。ここではその栄光と苦悩、そして知らざれる素顔を紹介しよう。

アルベルト・コンタドール プロフィール

名前:アルベルト・コンタドール
生年月日:1982年12月6日
出身地:スペイン
身長:176cm
体重:62kg
愛称:El Pistolero(エル・ピストレロ)
趣味:小鳥を飼うこと

インデュラインと呼ばれた少年時代

スペインで生まれ育ったコンタドールは、自転車競技をしていた兄の影響を受け、少年時代に自転車に乗り始めた。近所を懸命に走り回る毎日だったが、機材や環境には恵まれていなかった。そしてこの頃の経験が、後の社会貢献への思いにつながる。

少年だったコンタドールが自転車を全力で走らせていると、周りからは「インデュライン!」と声をかけられていた。当時、ツール・ド・フランスを5連覇したスペインの英雄であるミゲル・インデュラインのことだ。しかし、これはコンタドールの才能を見出していたわけではなく、子供たちは皆サッカーで遊ぶ国で、“自転車に夢中の変わった少年”として冷かしていたのかも知れない。ただ、コンタドールが史上5人目となるグランツール完全制覇達成者となり、インデュラインを超える伝説となった今、地元の人たちは「俺たちは当時から才能に気づいていた」と自慢げに語るはずだ。

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