スプリント大国オランダ。2018、2019、2020年と世界選手権のチームスプリントを3連覇。また、昨年の世界選手権ではチームスプリントに加えてスプリントで金銀、ケイリンで金、1kmタイムトライアルでも金を獲得しており、目下のところ男子短距離で世界最強と言える強豪国だ。

そんなオランダナショナルチームで問題になっているのが『オリンピックの短距離種目に誰を出場させるのか』という事である。

短距離種目のオリンピック出場枠

自転車トラック競技における、出場枠の獲得方法については下記の記事を参照頂きたい。

【トラック】2020年東京オリンピックの出場枠はどうやって獲得するの?

2020東京の短距離種目にて、チームスプリントで出場枠を獲得した場合の参加可能選手は以下の通りとなる。

種目名 人数 備考
チームスプリント 3人
ケイリン 2人 チームスプリントの出場選手から2人
スプリント 2人 チームスプリントの出場選手から2人

スプリント、ケイリンの個人種目を走る選手はチームスプリントの参加選手から選ばなくてはならない。つまり、種目こそ別れているものの、短距離種目の選手としてエントリーすることが出来るのは『チームスプリントに参加する3人だけ』なのである。
(※チームスプリントで枠を獲得することができず、スプリントやケイリンの個人種目から出場枠を獲得した場合は人数が異なるため注意)

以上のことを踏まえ、本記事を読み進めて頂きたい。

チームスプリントが最優先のオランダ

オランダチームの短距離コーチであるヒューゴ・ハックは、More CADENCEが実施したインタビューにて「完全にチームスプリント狙い」とのコメントを残している。

辛い選択を迫られる それがコーチの仕事/ヒューゴ・ハック、オランダ短距離コーチの意志

現在のオランダのチームスプリントのメンバーは1走:ロイ・バンデンバーグ/2走:ハリー・ラブレイセン/3走:ジェフリー・ホーフラントの3人がレギュラーと言える。

2020年2月末に行われた世界選手権で41秒225と世界記録を更新したタイムを出した際や、2019-20シーズンのヨーロッパ選手権で2位に0.8秒の大差をつけて勝利した際のメンバーだ。

2019-20シーズンのワールドカップや2020年の世界選手権ではマティエス・ブフリやサム・リグトレーニルス・バン・ツエンダーダールらがメンバーに入る場面も見られた。このことからメンバーはまだ固定されておらず、チーム内でのメンバー争いはまだ続いていると推測される。

しかし、どのメンバーで走っても42秒2以下のタイムで優勝しているため(世界選手権、ワールドカップ第1~3戦全て)、リザルトを見ただけでは誰が選ばれそうかという話へは言及できない。

桁違いの層の厚さを誇るオランダだからこその問題となっている。

世界チャンプですら…