リオオリンピックの選考落ち
Q:これまでの選手人生で最も辛かった瞬間は?
2016年のリオオリンピック選考落ちです。
当時は「オリンピックに出て活躍する自分」をイメージして、日々のトレーニングや生活を過ごしていました。でも落選して、そのオリンピックに挑戦することさえできなくなってしまった。
まったくイメージになかった状況に陥って、キャパオーバーになってしまって……どうしたら良いのかわからなくなって、辛かった思い出があります。
Q:どうやって乗り越えたのでしょうか。
辛いのは辛いですけど、「そこから立ち上がらないことが一番辛いことだ」と気づいたんです。
「オリンピック以外のことにも挑戦したい」と感じて、ヨーロッパでのロードレースを経験したり、日本で競輪選手にもなりました。
Q:どのようなきっかけでそう思えたのですか?
たまたま家で読んだ「こち亀」にあったセリフなんです。「立ち上がらないことが一番いけないことだ」といった場面があって、それが今の状況にシンクロするように感じました。
※こち亀…「こちら葛飾区亀有公園前派出所」秋本治/集英社
漫画にも少し助けられたんですね。選考落ちして、気持ちが沈んでいる時に行動するのはハードルが高い。でも漫画を読むというのは、そういう時でもできることでした。このタイミングで、その場面に出会えたのは良かったです。
自転車選手として見てきた「景色」
Q:自転車選手としての経験で、最も嬉しかったことは?
2019年のワールドカップブリスベン大会の時ですが、レースのスタート前に、スタートラインに並ぶんですよね。僕はその観客席側からスタートしたんですけど、客席でオーストラリアの友達が応援してくれてて。
レースのスタート前の集中する雰囲気とその観客として楽しんで観ている雰囲気がミックスして、凄く嬉しかったですね。
Q:もう一回、この瞬間を味わってみたいと思ったことは?
2014年の韓国のアジア大会は、シビれた瞬間でした。オムニアムで初めて優勝できたんですけど、その時の表彰式にセンターポールに日の丸が上がって。君が代が流れているそこの時間が凄く……よかったですね。
Q:その時はどういった感情になるんですか?
鳥肌が立つような、涙が出るような。感動している状態だと思います。