ブノワコーチに気付かされた「それじゃ勝てない」コト

雨谷一樹

本当に1走が速くなりたい

20代前半を振り返れば「何やってたんだ、もっと出来た事があったんじゃないか?」って思います。

ブノワコーチの体制になってから「本当に1走が速くなりたい。その為にどうしたらいいのか?」って毎日考えていて、その結果が今シーズンのワールドカップで自己ベストを出せた事にも繋がりましたしね。20代前半ではそれが出来ていなかったと思います。

それはブノワコーチがキッカケで?

そうですね。前に行ったブノワコーチとの個人面談の時に自己ベストタイムを聞かれたんですけど、自己ベストは2〜3年更新出来ていなかったんです。

「じゃあ自己ベストを出した時はどういう風な状況だった?」と聞かれ「その時は毎日1走でタイム出す事だけを考えてた」って言ったんです。

そしたら「じゃあ今はどうだ?」って。「そういえば今は違うな。そこまでじゃないぞ。」と気づいたんです。それじゃ勝てないと思い、毎日1走でタイムを出すことを考えるようになりました。そうじゃないと勝てない。ヨシ(長迫吉拓)とか、板倉(玄京)とか、若い選手も出てきてるし、それ位やらないと勝てないです。

やっぱ瞬発系では勝てないので、パワーでどうにかしないと、とか考えてます。

ブノワコーチが名コーチと呼ばれる所以

その辺りはブノワコーチが気づかせてくれたって事でしょうか?

そうですね。それはもう本当に大きいです。やっぱり“名コーチ”と呼ばれる部分は、そういう所にあるんじゃないですかね。迷いも消えました。「ブノワコーチの言う事を聞けば速くなれる」って。

ずっと悩んでたセッティングも「これで大丈夫だ」って言われれば、今はそれを信じてやるだけ。迷いなく「やるしかない」って感じです。

そう吹っ切れたから、タイムも出始めたんだと思います。このまま突き進み、どこまでいけるか?っていうのが楽しみです。充実してて最高ですね。

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ナショナルチームの皆さんを取材していて、非常に前向きだなと感じますね。

そうなんですよ。以前は前向きな事を言えてませんでしたね。ブノワコーチになってからの1年で、そういう風になってきました。