偽善と思われようが、悪いことをしているわけではない

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昨シーズンの振り返りと戦友の引退

Q:2019-20シーズンのスプリントでの深谷選手を見ていて、バンクの幅をいっぱいに使った動きがヨーロッパの選手のようだと思いました。国内でああいう動きをするのは深谷選手しかいないと思うのですが、どうやって体得したんでしょうか?

あれはレースの中で徐々に学んでいった感じですね。まだ「とりあえずやってみた」くらいのレベルだと思っています。無駄が多いので洗練していきたいです。あの動きは(アジズルハスニ・)アワンがダントツで上手いですね。

アジズルハスニ・アワン(マレーシア)

Q:また6月4日をもってチームスプリントで1走をつとめた雨谷一樹選手が競技引退を発表しました。深谷選手からしてみると高校時代からの繋がりだと思います。

自分が競技から離れていた時も雨谷が頑張って競技をやっていたことを知っているので「オリンピックに出て欲しかったな」という想いが強いです。「オリンピックは遠いようで近いようで、やっぱり遠い存在だな」と改めて思いました。彼はオリンピックに3回チャレンジして、3回とも出られませんでした。

新田祐大、雨谷一樹、深谷知広

雨谷は特に難しいポジションでもあるんですよね。多分1回シーズン前に心が折れて、それがあったからこそ第4戦で金メダルに届いたように思います。あと1ヶ月くらい時期がずれていたらまた別の結果があっただろうし・・・難しいところです。

【独占】前編:散った夢、新たなスタート…雨谷一樹インタビュー

まだ会心のレースはない

Q:チームスプリントは「世界選手権でメダルが獲れるかもしれない」と思わせるようなタイムを出していました。

あれ以上の手応えは今までなかったです。世界選手権に「勝負しにいく」という感覚で挑めたのはあれが初めてでした。ひとつ前のシーズンは、戦いに行くというより「1つでも良い走りをして、順位を上げられたら」という感じでしたね。

Q:深谷選手にとっての「会心のレース」は、やっぱり2019-20トラックワールドカップ第4戦(ニュージーランド)で日本記録を更新、そして金メダルを獲得したレースでしょうか。

そうですね・・・・・・多分そう。前のスピード次第な部分があるので3走って難しいんですよね。だからまだ会心って言えるレースはないかもしれないです。

「2走のタイム+0.3秒以内に収める」のを目標に走っているのですが、それが達成できたことはまだ無いんです。大会では2走の新田(祐大)さんのタイムが良かったから結果が良かった。トータルで言えば、会心のレースは金メダルを獲った2大会(第4戦と第5戦のこと)だと思うのですが。

Q:チームスプリントでメダルを獲った時と、個人種目であるスプリントでメダルを獲った時とで、やっぱり喜びの種類も異なるんでしょうか。

どっちが大きいとか比べるものじゃないんですが・・・大きさとしては同じくらい、横並びですね。銅メダルと金メダルなら金メダルの方が嬉しいけど、スプリントでオランダの2人(ハリー・ラブレイセンジェフリー・ホーフラント)と表彰台に乗ったのは感慨深いものがありましたし・・・やっぱり種類が違いますね。

トラックワールドカップ第3戦(香港) 左からジェフリー・ホーフラント、ハリー・ラブレイセン、深谷知広

ナショナルチームの「真ん中の立場」として

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