脇本雄太の銀メダルに魔法はない

Q:ではケイリンへ移ります。脇本雄太選手が遂にやりましたが、嬉しいですか?

とても嬉しいです。彼にとってはこれがラストチャンスでした。

ケイリンの当日、はっきりと彼に「今日お前には2つの選択肢がある。オリンピックをTVで見るか、ここでメダルを獲るか。その他に選択肢は無い」と伝えました。

それ以前から沢山の会話を重ね、改善をしてきたので、直前だけの話ではありませんがね。

そして、ついに本当のワッキー(脇本選手)を見ることが出来ました。周りの人たちもワッキーがどれだけ凄くなれるのかがわかりましたね。もしワッキーがオリンピックの代表に選ばれるのであれば、多くの人が彼に注目すると思います。

Q:今日、脇本選手はかなり集中出来ていたように思えますが、何か理由は?

本当に戦わなければならない時、その時にはやり方は見つかる物です。ワッキーにとっては「ここか、今後は二度と無いか」でした。やらなければならない時にやる、それだけです。

ワッキーは様々なものを抱えていますが、本当に何かを欲した時、手に入れる方法は自分で見つけるんです。パニックになるのではなく戦う。それを彼は行っただけです。トラックの上で戦った。それだけです。

Q:ということはレースの前から脇本選手は準備が出来ていたと感じていましたか?

はい。あまり細かくは言いたくないですし、ワッキー自身が話すのであれば任せますが、これは2年半かけて我々が取り組んできたことです。何かが変わりましたね。

Q:何かしたわけですか?

一緒にね。魔法はありません。レースのこと、生活のこと、戦う姿勢のこと全てを繋げようとしたまでです。

ケイリンで新田祐大は強さを示した

Q:では新田選手のケイリンについて。彼は決勝進出は叶わず、7-12位決定戦へ回り、最後は降格となりました

降格という結果は関係ありません。最後、少しアグレッシブさが出たレースとなりましたが、あれは「俺の邪魔をするな」というメッセージでもありました。良い行いとは言えませんが、悪かったとも言えませんよね。

新田については特に、準々決勝では彼が最強だということを示しました。彼は去年の銀メダリストで、残念ながら今年は上手くいきませんでしたが、誰もが彼は強いということを認識しました。ですので、代表選考でどうなるか・・・・・ですね。

河端朋之が開いた世界への道

Q:河端朋之選手については?

結果は彼にとっては厳しいものだったと思います。我々は彼へ対し正直にならなければなりません。

レース後、彼へ話しかけることが出来ませんでした。彼は本当にチームへ貢献してくれたし、真面目で、トレーニングも厳しく自分を追い込んでいました。

彼は我々に道を開いてくれました。我々が得た世界選手権で最初のメダルは河端のものでした。あのメダルがチームの全てを変えました。だからとても悲しいです。現状のチームを作っているとても大きな部分を彼が形成したと思っています。

勝つ準備が必要

Q:女子については?

もし誰かをオリンピックの舞台へ立たせるのであれば、勝つ準備が出来ている人間でなくてはならないし、その準備が出来ていない人間を舞台へ立たせるつもりもありません。これからの練習次第ですね。

戦わなければならない時に「戦う」という意味を理解出来ていなかったのだと思います。トレーニングは十分に行ってきていますが、様々な人たちが関わってきた中で、今回彼女たちが返したのはこの結果です。

オリンピック選考の行方